起業家合宿イベント「IVS BootCamp(ブートキャンプ)Shiga」が6月27日・28日、琵琶湖マリオットホテル(守山市今浜町)で開催された。
現在京都で行われているスタートアップ企業が集まるイベント「IVS KYOTO」公式サイドイベントで、起業して間もないスタートアップ起業家20人と、ベンチャーキャピタリスト(投資家)20人が集まり、2日間で事業のブラッシュアップを行った。
27日は20人の起業家が自身の事業についてプレゼンを行った後、投資家との1対1の面談を行った。起業家2人と投資家2人がグループを組み、2人の起業家のうちどちらかの事業を選び、28日のピッチコンテストに向けて議論した。
今回のテーマは「デカコーン or Die」。「デカコーン(株式の時価総額が100億ドル以上と評価されている非上場のベンチャー企業)」を目指すためにはどうすればいいかチームで意見を出し合った。
実行委員長でマイネット(東京都)会長の上原仁さんは「スタートアップは10年前とは異なる状況にある。『デカコーン』を狙えるビジネスモデルのみに投資が集中している。テーマが小粒化しているのに、お山の大将でいたい起業家が多く、そのままだと出口も小さくなり、評価されづらくなる。思考を拡大するためにテーマを『デカコーン』とした」と話す。
橋やトンネルなどのメンテナンスの現場をデジタル化する事業をしている「DAC-NOTE」の岡部スバル雅之さんは「投資家からのバランスの取れた意見ともう一人の起業家からの情報が役に立った。普段事業をしていると大きな発想ができないが、発表の場があることで思い切って言えた」と話した。
28日のピッチコンテストでは、DeNA常務執行役員CSOの原田明典さんと森中高史守山市長が審査員を務めた。10チームが2日間の議論を基に発展させた事業内容を発表した。
守山市長賞は起業家のSOCIALPORT齋藤英一さん、JOYCLE小柳裕太郎さんと投資家のジェネシア・ベンチャーズ水谷航己さん、エンジェル投資家宮本邦久さんのFチームによる「宿泊者の体験動画から予約するグローバルOTA」が選ばれた。齋藤さんはインフルエンサーとホテルをつなぐマッチングプラットフォームを運営しているが、「2日間の議論の結果、インフルエンサーをやめて一般の宿泊者の体験動画からホテルを予約できるコンテンツにした」と発表した。
齋藤さんは「守山市で実証実験をして観光客をたくさん誘致できるようにしたい」と森中市長にアピールした。
グランプリには起業家のxCARE(クロスケア)福永将さん、CONNECT大川裕輝さんと投資家のStartPass小原聖誉さん、オールアバウト加藤寛人さんのEチームによる「必要な時に必要な専門家をスポットで活用することができる、メディカルHRプラットフォーム」が選ばれた。
福永さんは「日頃から自信を持って事業に取り組んできたが、投資家からの視線で『どう伝えたら伝わるか』をブートキャンプで引き出してもらえた。市場のどこをターゲットにするのか、他社から参入しづらい仕組みをどうつくるのかなど、ポイントを押さえて事業をブラッシュアップしていきたい」と話した。
上原さんは「会社に戻って社員や役員との議論で現実に向き合うことになると思うが、今日話したことを持ち帰って、より高い成長ができるきっかけにしてもらいたい。ピッチ初出場だった福永さんがブランプリを獲得したことで、彼が世に出ていく機会になったのではないか」と話す。