![写真左からユーグレナの岩田さん、出雲社長、森中市長、イヴケアの五十棲社長、青年部の樋上会長](https://images.keizai.biz/biwako-otsu_keizai/headline/1694154197_photo.jpg)
経営者のストレスや栄養状態を診断し改善する官民連携の実証実験「守山市健康起業プログラム」が9月7日、守山市で始まった。
守山市は地方創生のために「起業家の集まるまち守山」を目指す取り組みをしている。市によると、ストレスフルで不規則な生活をし、不健康なイメージがある起業家、経営者の実態を把握し、健康面をサポートするために実証実験を始めたという。
守山商工会議所青年部に所属する45歳以下の経営者、起業家16人と守山市の森中高史市長、守山市商工観光課係長の杉本悠太さんが被験者となって10月11日までの約1カ月間でストレス診断、栄養診断、サプリメント接種を行う。
滋賀大学の第1号認定ベンチャー企業である「イヴケア」が毛髪によるストレス診断を行い、毛髪の中に蓄積されたストレスホルモン(コルチゾール)と抗ストレスホルモン(DHEA)を測定する。イヴケア社長の五十棲計さんは「ストレスが長期間になると、ストレスの認知がゆがんでしまうことがあるが、数値から客観的にストレスを測定できる。ストレスに対応する抗ストレスホルモンも同時に測定し、体がどのくらい反応しているかを知ることで、ストレスに負けない体づくりができているかが分かる。ストレスをコントロールして乗り越えられるようにアドバイスしたい」と話す。
10月に行われる結果説明会ではイヴケアの五十棲さんが、ストレス診断の結果とストレスに対する認知傾向のアンケートデータに基づいて自己認知とのずれやストレス対処方法などについて講義する。五十棲さんは「大人はストレスを理解して対処しようとするが、感情的に対処したほうがいいことや、ストレスから距離を置いた方がいいこともある。対処方法としてその人に合っているかなども伝えたい」と話す。
ユーグレナは最新の簡易迅速尿検査キットを提供する。検査キットをスマートフォンの専用アプリで撮影すると約2分でビタミン、ミネラル、野菜摂取量、酸化ストレスなどの栄養バランスが測定できる。栄養バランスを測定後、ユーグレナが提供するサプリメントを摂取し、食事、運動習慣を改善し、2週間後に再度測定することで生活習慣を見直すことが目的。ユーグレナのバイオインフォマティクス事業部部長の岩田修さんは「現在は平均寿命と健康寿命には10年の差があるが、平均寿命イコール健康寿命の世界をつくりたい」と話す。
文部科学省の起業家教育推進大使に就任したユーグレナの出雲充社長は「日本経済の成長のためにはスタートアップによる活力が必要。健康で起業してもらうために協力したい。起業家の健康をモニターするのは初めて。守山市で起業する人を増やしたい」と話す。
7日に行われた記者会見では森中市長と守山商工会議所青年部の樋上永寿会長の毛髪を採取した。森中市長は「ストレスを感じないタイプなのでどんな数値が出るのが楽しみ。守山は面白いことをしていると感じてもらえれば。単にストレスを測るだけでなく、何が大変で、市としてどんなサポートができるのかまで分析したい。そうすれば自然と起業家が集まって来るのではないか。実証実験のフィールドとして守山市を活用してもらえれば」と期待する。