3D空間でコミュニケーションを取る「デジタル保健室」の活用が1月9日、立命館守山中学・高校(守山市三宅町)で始まった。
生徒が保健室と自由に利用できる場所として学校が用意するサポートルームにあるタブレット端末を使い、仮想空間で養護教諭などと会話できるようにした。仮想空間は実際の保健室とサポートルームを再現しており、生徒がアバターを使い入室すると、保健室のソファやサポートルームの個室などに入ることができるようにしている。アバターを通して会話やチャット、拍手などのリアクションを送り合うことができるようにした。
同校養護教諭の山村和恵さんは「保健室に来た生徒からゲームの話をよく聞くので、メタバースを利用して話すきっかけを作れないかと考えた。メタバースでオープンキャンパスを行う『メタモリ』ができたことも契機になった。対面では話しにくいこともアバターなら話せるという生徒もいて、コミュニケーションのきっかけになる」と話す。
サポートルームについて、山村さんは「保健室に来室する生徒が増え、保健室だけでは対応しきれなくなり設置した。スクールサポートスタッフが在室する。休憩や一人での勉強、友達とのボードゲーム、昼ご飯などに使える。生徒がサポートルームにいても仮想空間の保健室に入室してもらえば私のアバターとしゃべることができる。直接は聞きにくい性のことなどもアバターなら相談できるのではないか」と話す。
9日の体験会に参加した同中学2年生の桂田真幸さんは「デジタル保健室は、普段遊んでいるアバターのゲームと似ているところがあってなじみやすい。深い相談の時は先生と直接話したいが、軽い相談ならメタバースでいいと思う。今後、家からでもデジタル保健室に入れるようになったら、感染症などで学校を欠席する時でも友達とアバターで会えるようになるのでうれしい」と話していた。
今後は簡単な要件ならAIで対応できるようにすることや、家からでもアバターで仮想空間に入れるようにすることも検討中だという。山村さんは「例えば、ほかに人がいて生理用品を借りたいと言いづらい時でも、AIで対応すると周りに気づかれずに借りることができる。保健室には来たが、しゃべりたくないという時でも対応できる。大人はしゃべりかけて生徒から聞き出そうとするが、今の子どもに合わせた相談方法にする必要がある」と話す。