園児の笑顔をAIで検知して数値化する実証実験が6月13日、吉身保育園(守山市吉身2)で行われた。
学生が運動遊びを指導しながら、スマートフォンで笑顔の数を検知した
AIによる笑顔検知システムを運用する「One Smile Foundation」(横浜市)とびわこ成蹊スポーツ大学(大津市北比良)が協力。当日は、5歳児32人と4歳児34人を対象に、同大学2年の谷口淳子さんら学生4人が「びわスポキッズ体操」やボールを使った運動遊びを指導。同時に、胸部に取り付けたスマートフォンにインストールした笑顔を検知するアプリ「スマイラル」で、楽しみながら体を動かす園児の笑顔数をカウントした。80分間の実験で、アプリが検知した笑顔の数は認知した延べ5892人の顔のうち747人。笑顔率は12.6%となった。10日に速野カナリヤ子ども園(守山市木浜町)で行った実験ではスマートフォンの位置を固定したが、検知数が少なかったことから胸部に変更した。
「スマイラル」を開発した「One Smile Foundation」代表理事の辻早紀(はやき)さんは「笑顔を寄付に変える」システムを構築するために活動しているという。辻さんは「世界の貧困を解決したいと思っても、『難しい問題だから仕方ない』と諦めている人がほとんど。笑顔の数をカウントし、1笑顔につき1円を『One Smile Foundation』が代わりに寄付するシステムを提供できたとすれば、生活に余裕がなくても寄付ができて誰でも社会に貢献できる。チャリティーの分野でイノベーションを起こせると気づいてしまったから、やらないわけにはいかない」と話す。
2020年には浜松市で、「AIによる街の幸福度向上と可視化プロジェクト」を始め、市内の企業やBリーグの試合会場で笑顔の数をカウントし、協賛企業からの寄付金から1笑顔につき1円を子ども食堂に寄付している。辻さんの活動を知った同大学スポーツ統括課長の宇野太基さんから声がかかり、今回の実証実験に協力することになったという。
「小さい時に体を動かすことが楽しいと知れば、スポーツに長く親しんでもらえる。笑顔が検知され数値化できると、どんなプログラムだと子どもたちが楽しんでくれるのかが分かるので大学の研究へのフィードバックにもなる」と宇野さん。辻さんは「まずは笑顔を検知する実証実験から始め、園児の笑顔の写真を保護者に販売した売り上げからの寄付や、市民の笑顔の数だけ駅前のクリスマスツリーが光るなど、笑顔を可視化する取り組みもしたい」と意気込む。
谷口さんは「笑顔の少なかったプログラムは子どもたちが楽しくなかったということだと思うので、内容を変更したり、声のかけ方を変えたりしたい」と話す。