琵琶湖博物館(草津市下物町)が現在、大津市膳所にちなんだ名を持つ淡水魚「ゼゼラ」を期間限定展示している。
ゼゼラは川や湖の底に生息する体長約8センチのコイ科の淡水魚。口ひげを持たず、顔が丸いことが特徴。1895(明治28)年に動物学者の石川千代松さんが「ゼゼラ」と名付けて新種登録した。同館学芸員田畑諒一さんによると、1930年代に濃尾平野や九州北部などでも生息が確認され、琵琶湖の固有種でないことが分かったという。ゼゼラは滋賀県以外の地域では川や池に生息し、比較的容易に採集できるが、滋賀県では繁殖期以外は琵琶湖の水深10メートルほどの所に生息するため、採集が困難なことと、寿命が1年の個体が多いことから展示が難しく、同館では2018(平成30)年の水族企画展以来、展示していなかった。
繁殖に適した個体を入手し、同館の保護増殖センターで繁殖に成功したことから展示を決めた。現在は体長約1.5センチの稚魚と約8センチの成魚を水族展示室内の古代魚(チョウザメ)水槽前で展示している。
田畑さんは「滋賀の地名が付いている魚だが、あまり知られていないので、展示をきっかけにゼゼラを知ってもらい、当館が繁殖に取り組んでいることも知ってもらえたら」と話す。
開館時間は9時30分~17時(最終入館は16時)。月曜休館(祝日の場合は開館)。入館料は、大人=800円、高校生・大学生=450円、中学生以下無料。「ゼゼラ」展示は9月1日まで。