大津市に伝わる民族絵画「大津絵」の展覧会「大津絵師 五代目高橋松山展」が現在、叶 匠壽庵(かのうしょうじゅあん)寿長生(すない)の郷(さと、大津市大石龍門)で開催されている。
「雷公の太鼓釣り」をライブペインティングで描く5代目高橋松山さん
高橋松山(高ははしごだか)さんが描いた新作を含む80点を展示・販売している同展覧会。僧衣を着ている鬼を描いた「鬼の寒念仏」や、藤の衣装を着て藤の花枝を持つ女性を描いた「藤娘」などの古典のほか、今回の展覧会のために描き下ろした「豆選る鬼」などの新作も展示する。
大津絵は、江戸時代初期に東海道の大津宿場町で販売されていた大衆向けの絵画で、旅人の土産物として全国各地に広まった。明治時代には東海道を歩く旅人も減り、大津絵は衰退するが、初代が三井寺(三井寺町)の参道に「大津絵の店」を構え、代々、大津絵の伝統を守り続けてきた。高橋さんが5代目を継いだのは1996(平成8)年。現在では大津絵を生業とする唯一の絵師となった。
2日には高橋さんによるライブペインティングも行われた。荒天下での開催となったが、高橋さんが「雷公の太鼓釣り」を描く姿に来場客らが見入っていた。10日には講演会が行われ、「鬼の寒念仏」を描きながら高橋さんが、大津絵の歴史や絵に込められた意味などを解説した。
12日に来場した大津市の女性は「10年以上前、色を塗ってから輪郭線を描くという大津絵の手法に驚きいたことをきっかけに先代の教室に通い始めて現在は5代目から習っている。5代目の作品がこんなにたくさん並んでいる展示会を見るのは初めて」と喜んでいた。
同展覧会の開催に合わせ寿長生の郷では、大津絵が描かれたもなか種で餅菓子の「あも」を挟んで食べる「大津絵あも歌留多」を販売している。価格はもなか種=1,080円、あも=1,296円。
同社秘書広報課の関野芽衣さんは「大津の伝統文化を発信することで、和菓子文化と共に大津の文化も守っていきたい」と話す。
開催時間は10時~17時。水曜休催。入場無料。24日まで。