大津市が舞台の小説「成瀬は天下を取りにいく」の著者、宮島未奈さんが12月2日、滋賀県警の歳末特別警戒本部長に就任し、防犯と交通安全を呼びかけた。
犯罪被害や交通事故を防ぐための年末特別警戒が始まったことを受け2日、滋賀県警察本部で行われた「歳末特別警戒出動式」には警察官や防犯パトロール団体などが出席。県警は宮島さんを歳末特別警戒本部長に任命し、任命証とたすきを渡した。拝命した宮島さんは警察官や防犯パトロール団体に向けて「成瀬の力で事件や事故を食い止めるという気持ちで本部長を務める。心を一つに合わせて安全・安心な滋賀を実現しましょう」と訓示した。
県警が着目したのは、2024年本屋大賞を受賞した小説「成瀬は天下を取りにいく」の主人公・成瀬あかりの高い防犯意識。県警が推奨している「ながら見守り活動」と合致していることから、著者の宮島さんを任命したという。小説内には、成瀬が膳所高校からの下校中に「パトロール中」と書かれた赤い腕章を巻き1人で膳所駅周辺を自主的にパトロールするエピソードのほか、成瀬について調べている小学生に「特殊詐欺の被害を未然に防いだことがある」と話すエピソードもある。
出動式では、出席者全員で宮島さんが監修した「成瀬パトロール5か条」を唱和。5か条は、「あいさつは防犯の基本だ」「自主防犯パトロールで犯罪防止」「ATMで通話中の人には声かけ」「万引きは許さない」「信号を守って守るわたしの未来」の5つ。「信号を守って守るわたしの未来」は、成瀬が小学6年生の時に考えたという設定の標語。宮島さんは「成瀬ならこんなことを言うだろうとイメージした」と話す。
式後には宮島さんの号令で、白バイやパトカー、成瀬と同じく赤い腕章を巻いた膳所高校の生徒らが滋賀県警察本部から地域の安全見守りのために出動した。
宮島さんは「成瀬は膳所エリアを愛している。自分の住む町が安全だったらいいなという思いからパトロールもしている。県民の皆さんも、成瀬のように安全意識を高く持ってもらえたら」と呼びかける。