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琵琶湖博物館で新ビワコオオナマズ水槽公開 破損から3年2カ月

新しい水槽に引っ越ししたビワコオオナマズ

新しい水槽に引っ越ししたビワコオオナマズ

 滋賀県立琵琶湖博物館(草津市下物町)で4月11日、新ビワコオオナマズ水槽と新コアユ水槽が公開された。

新しくなったビワコオオナマズ水槽

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 2023年2月に発生したビワコオオナマズ水槽の破損事故を受け、同館は水族展示の再整備を進めてきた。約3年2カ月にわたる設計・施工期間を経て、安全性の確保と展示内容の刷新を両立した新水槽が完成した。

 新ビワコオオナマズ水槽は、琵琶湖北部・葛籠尾崎(つづらおざき)沖にあるとされるナマズ岩をモチーフに構成した。岩場の環境を再現し、湖底の岩陰に潜むビワコオオナマズの生息空間を表現した。縦2メートル、横3.9メートルのメイン水槽には、ビワコオオナマズ1匹を展示する。同館の田畑諒一さんによると、ビワコオオナマズは縄張り意識が強いことから、1つの水槽に1匹しか飼育できないという。水槽裏側には観察空間を設けた。区切られた空間の中に、それぞれ、ビワコオオナマズ1匹、イワトコナマズ3匹、マナマズ1匹を展示する。来館者は頭上に配置した水槽を見上げることで、通常は見ることが難しいナマズの腹側を観察できる。田畑さんは「ナマズは一見、見分けがつかないが、腹の色で見分けることができる。普通に展示すると腹側は見てもらうことができないので、この展示方法にした」と説明する。

 水槽の構造面では、アクリルの厚さを最大約105ミリとし、水圧への安全性を高めた。水量は旧水槽の約70トンから約35トンへと半減したが、奥行きやレイアウトの工夫によりスケール感を維持した。水槽は従来の円筒形から平面形に変更した。同館の田畑諒一さんは「円筒形の水槽はビワコオオナマズがゆがんで見えた。生物そのものの形を見てもらうには、平面形の方がいい」と話す。

 新コアユ水槽は、琵琶湖の伝統漁法エリ漁をテーマに据えた。展示空間全体をエリのつぼ構造に見立て、来館者が魚の視点で漁の仕組みを体感できるよう設計した。水槽周辺には実際に使われる網や支柱を展示し、地域の漁業との関わりを紹介する。

 館長の亀田佳代子さんは「事故から長い時間がかかったが、多くの支援で新水槽を完成できた。みんなで作る新水槽という思いが形になった。これからも皆さんの水槽として親しんでほしい」と話す。クラウドファンディングで866人から約1,700万円、企業24社から約1,200万円の支援が集まったことにも触れ、感謝を述べる。

 学芸員の田畑諒一さんは「ナマズ岩の再現は、実際の研究記録やスケッチを基に制作した。腹側を観察できる構造は、ナマズの生態理解につながる新しい視点」と話す。「コアユ水槽では漁業との関係も含め、琵琶湖の暮らしを感じてもらえれば」とも。

 クラウドファンディング支援者の千葉秀河さんは「裏側から見られる展示が新しくて面白い。ナマズ岩の話も興味深かった。琵琶湖の生き物の保全や繁殖について、今後の展示にも期待したい」と話す。

 同館は今年で開館30周年を迎える。亀田さんは「30年、50年、100年先も地域と共に歩む博物館でありたい」と意気込む。

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