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大津北船路で「かかし祭り」-地産地消、まちと農村交流の取り組み結実

初めての「かかし祭り」に約60人の市民が参加(写真提供=北船路米づくり研究会)

初めての「かかし祭り」に約60人の市民が参加(写真提供=北船路米づくり研究会)

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 大津市八屋戸北船路(きたふなじ)地区で9月2日、「かかし祭り」が開催された。

棚田に並べられたかかし(写真提供=北船路米づくり研究会)

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 企画したのは、龍谷大学社会学部脇田健一教授のゼミに所属する学生と同地区の農家から成る「北船路米づくり研究会」。同会は2年前に脇田教授が大津SNSで知り合った同地区農家との出会いがきっかけになり、農村の活性化をテーマに学生と指導農家との交流(農学連携)を目的に始まった。これまでも農家に指導を受けながら米、野菜作りや農村ボランティア、「北船路野菜市」(毎月第3土曜、大津市丸屋町商店街)などの活動を続けてきた。生産した米や野菜を「龍谷米」「龍谷芋」として京滋の飲食店にも出荷、好評を得ているという。

 野菜市の常連に産地のことを話すうち、消費者に現地をもっと知ってもらいたい、見てもらいたいとの思いが同祭の開催につながった。当日は、同会学生や遠足で春・秋と同地区を訪れている「みつばち幼稚園」(大津市観音寺)の園児、地元の子どもたちが作ったかかし約30体が棚田の農道に並んだ。野菜市の常連や園児、地元の人など約60人が参加し、琵琶湖を一望できる棚田の風景と農家の人との交流を楽しんだ。

 祭り開催まで同会の学生を見守り、指導してきた脇田教授は、「大津は大阪、京都など大都市と違い、少し行けば農村がある。一つの地域にまちと農村がある。言い換えれば、生産地とマーケットが隣接する地域。地産地消、食の安心・安全を生産者だけでなく消費者も一緒に支えられる地域」と話す。「農産物を媒介としてまちと農村をつなぐきっかけになれば。野菜市もかかし祭りもその一環の活動として取り組んでいる」という。

 農村での活動について、「1年間、『北船路野菜市』で農家の方に協力いただき、見守っていただいた。指導を受けながら農産物の生産や農作業のお手伝いなどのボランティア活動も行い地域に少しずつ入らせていただけた。徐々に関係を作り、こちらの都合を押し付けるのではなく理解を得ながら地域での活動につなげていく。そういう着実なステップが必要だ」と振り返る。

 今後の展望について「毎月の野菜市を継続していくとともに、第2回のかかし祭りも開催し、まちと農村の交流を太くしていきたい」と語る。活動に携わる学生にも変化が見え始めている。「地域と関わり、活動していく中で学生は変わる。初めは学校が、授業が、ゼミが『自分に何をしてくれるのか』という『自分中心、自分のこと』視点だが、活動を通じさまざまな人と関わり交流することで社会に対して関心が開かれていき、総合的な人間力が向上する」。

 同大社会学部は「現場主義」を基本に据えている。学生のパワーを生かした地域の再生を目指す「大津エンパワねっと」の取り組みも、この秋で5期目に入る。学生パワーでまちや農村にさらなる活性化が期待できそうだ。

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