今秋、長浜市で公演「呼吸機械」を予定する劇団「維新派」が一般公募した出演者のけいこが、しが県民芸術創造館(草津市野路町)で行われている。
「しゃべらないせりふ、歌わない音楽、踊らない踊り」という独特の演劇スタイルが特徴の同劇団は、劇団員自らの手で野外に劇場を建て、公演が終れば自ら解体して撤収する「scrap&build」の劇団。少年少女の青春群像劇を軸に、退廃的でノスタルジックな世界観を構築する。2005年にはメキシコ・グアナファトやブラジル・サントスでの公演を成功させている。
同公演は2007年~2008年、国内3カ所を巡演した「<彼>と旅をする20世紀三部作」の第1部「nostalgia」の第2部となる公演で、同劇団の「最も得意」(松本雄吉代表)という野外で上演される。
公演会場は、さいかち浜の「びわ湖水上舞台」。水上舞台は同劇団としては初めての試みで、びわ湖上に間口約18メートル、奥行き約18メートルの水上舞台を特設するほか、その先は湖に沈む舞台を作るという。松本代表は「水面ぎりぎりに舞台の床を敷き、水の上に人が立っているように見える。照明効果による湖面の美しさや広大さなど水上舞台ならではの演出を見てほしい」と話す。
一般公募した出演者を対象とするけいこは、10月の上演まで行われており、同劇団独特の表現を身に付ける。けいこに参加する一人は「上演までにたくさん覚えないといけない。表現が独特で難しいが、全員で頑張り完成させたい」と意気込みをみせる。維新派に所属する劇団員は大阪でけいこを行い、上演前の現地合宿で全員での最終調整を行う。
維新派の松本雄吉代表は「出演者約40人、スタッフ30人が9月から現地に泊まり込み、1カ月かけて水上舞台を作り上げる。『琵琶湖ならではの風景を生かしたかけがえのない作品を』と劇団員一同意気込んでいる」と話す。「何もないところから立ち上げていく野外の劇場と作品の面白さを感じてもらえれば」とも。
開演時間は、10月2日~5日、9日~13日=19時。料金は、一般=前売り6,000円(当日6,500円)、18歳以下=前売り5,000円(当日5,500円)。全席指定。チケットぴあなどで販売中。