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大津の芸術大学、キャンパス全体で「食とコミュニティー」テーマの作品展

バス停もギャラリーに

バス停もギャラリーに

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 キャンパス内各所でアート作品を展示する「セイアンアーツアテンション17『共食(きょうしょく)-Eating Together-』」が現在、成安造形大学(大津市仰木の里東4)で開催されている。

「よしだとたかだ」のレジャーシートのコラージュ作品と谷穹さんの陶芸作品

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 同大学は2010(平成22)年から「【キャンパスが美術館】」と銘打ち、学内に点在するギャラリーを使った展覧会を毎年開催している。今年は「食とコミュニティー」をテーマに学内6会場でアート作品を展示する。

 正門横のバス停にある「バスストップギャラリー」には、同大学住環境デザインクラスの卒業生で、20年以上大学の近くの仰木地区について研究している大原歩さんの調査を基に、イラストレーションコースの卒業生のてらいまきさんがイラストを描いた仰木地区の「ハレの日のごちそう」などを展示。

 「ライトギャラリー」では福島あつしさんの写真作品「ぼくは独り暮らしの老人に弁当を運ぶ」を展示している。福島さんが高齢者専用の弁当宅配員の仕事をしながら独居老人を撮影した作品で、ほこりにまみれる男性、寝転んだまま食べる男性などの姿が映し出されている。学芸員の田中真吾さんは「福島さんは弁当の配達で毎日会う老人と孫と祖父母のような関係になるが、カメラを向けると『独居老人』になってしまうことに苦しんだという。9年たった時に笑顔の写真が撮れるようになり、作品として発表した。独居老人という社会問題の提起ではなく、『どんな状態でも食べていかないといけない』という人間の本能が持つ強い生命力が感じられる作品になっている。そこには弁当と通じて生まれる最小単位のコミュニティーがある」と話す。

 ほかにも、料理をする動画に英語のナレーションを付け、料理がその地域のアイデンティティーであることを伝える永田康祐さんの映像作品「Translation Zone(トランスレーション ゾーン)」、同大学卒業生の夫婦ユニット「よしだとたかだ」のレジャーシートのコラージュ作品、同じく卒業生の谷穹さんの陶芸作品などを展示している。

 田中さんは「食とコミュニティーを巡る多様な目線の作品を展示している。いろいろな見方、考え方ができると思う。これからの地域社会や暮らしについて考えるきっかけとなれば」と来場を呼びかける。

 最終日には、てらいさんや福島さんらの作家によるトークイベントと、仰木地区の住民が郷土料理を振る舞うクロージングイベントを行う。

 開催時間は11時~17時。日曜・月曜休館。入場無料。11月9日まで。クロージングイベントは予約が必要。

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