特集

大津百町百福物語 Vol.15 「皿そば 渚庵」の「近江鴨の鴨鯖皿」

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大津が生み出した素材、歴史、文化、技術などに深く関わりを持つものを中心に「高い品質である」と認められた食品と工芸品を大津商工会議所が「大津百町百福物語」ブランドとして認定しています。

2015(平成27)年に大津商工会議所が始め、現在までに53点が認定。

びわ湖大津経済新聞では、地元で愛される「大津百町百福物語」認定商品に携わる人にスポットを当て、特集記事を公開していきます。

滋賀県産のそば粉で作る出石の「皿そば」

第15回は「皿そば 渚庵」(大津市におの浜)の「近江鴨の鴨鯖皿(かもさばさら)」。

「鴨」は鴨ロース、「鯖」はさばずし、「皿」は皿そば。3点を一緒に提供するのが「鴨鯖皿」です。

店主の河合進一さんが出石の皿そば専門店を大津の琵琶湖からほど近い場所にオープンしたのは2003(平成15)年。

河合さんの義理の母が兵庫県北部出身だったことから、滋賀では珍しい皿そばの店を開きました。

兵庫県の北部にある豊岡市は出石城の城下町で、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。出石地域に古くから伝わる「皿そば」は、白い小皿にそばを小分けにして提供するのが特徴です。

「渚庵」では、滋賀県多賀町産のそば粉を使い、手打ちしたそばを冷水で締め、創業以来20年間継ぎ足している「かえし」を使っただしとねぎ、わさび、山芋、鶏卵の薬味を添えて琵琶湖をイメージした青いラインが入った白い小皿で提供。

河合さんは「まずは塩で食べてそば本来の味を楽しんでほしい」と話します。そばを塩で味わった後はだしにつけて、さらに好みの薬味を入れて味わいます。

滋賀県産の近江鴨ロースと近江米を使ったさばずし

京都市出身の河合さんですが、両親は滋賀県甲賀市生まれ。滋賀県の郷土料理も味わってほしいと「鴨ロース」と「さばずし」の提供も始めました。

滋賀県の北部・湖北地方には、シベリアから越冬するカモが飛来することから、鴨料理が郷土料理として親しまれています。

若狭(現在の福井県嶺南地方)と京都を結ぶ街道「鯖街道」。福井の海から滋賀県の湖西地方を通って京都までサバを運んだことから、湖西地方ではさばずしが名物となっています。

河合さんは地産地消を目指し、高島市で育てられた国産の鴨を使った「近江鴨の鴨ロース」と近江米を使ったさばずしを提供。さばずしは人気が高く、昼前に売り切れることもあるそうです。

河合さんは「以前から地域に貢献したいという思いがあり、大津百町百福物語に応募するのをきっかけに滋賀県産食材を使うことに。高島の山の中の水がきれいな所で飼育されている近江鴨は肉質が良く、味が濃く、香りが良い。そば粉も県内産に切り替えました」と話します。

そばと鴨ロース、さばずしがセットになった「近江鴨の鴨鯖皿」

看板メニューの皿そばと近江鴨で作る鴨ロース、さばずしをセットにして提供し始めたのは2008(平成20)年。河合さんは「鴨鯖皿のネーミングをひらめいて一緒に提供することに。ちょっと言いにくい名前ですが、インパクトがあるので気に入っています」と笑顔を見せます。

河合さんは「琵琶湖は河川法では川に分類されるとのこと。河が合わさって一つになって進むという私の名前は、琵琶湖を表しているのだと最近気が付きました。琵琶湖の名を持つ私が、食を通して滋賀県に貢献したい」と意気込みます。

店内には大津に伝わる民俗絵画「大津絵」。河合さんは「常連客が描いた大津絵をもらって初めて知ったのですが、迫力があり、少しひねりが入っている絵柄で気に入っています。県外や海外から来た人にも滋賀の文化や歴史に触れてもらって、何か感じてもらえれば」と話します。

皿そば 渚庵

https://nagisaan.com/

滋賀県大津市におの浜4-4-16

電話番号:077-525-1915

営業時間:11時~15時(14時30分ラストオーダー) ※そばがなくなり次第終了

定休日:火曜、第2・4月曜 ※祝日の場合、営業する場合もあり。

 

取材・文=山中輝子

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