大津菱屋町商店街の「八百与」(大津市長等)で漬物体験とお茶漬け膳を味わうイベントが開催されている。
八百与は1850年創業の老舗漬物店。三井寺や比叡山延暦寺に精進料理を届ける料理店だったが、京都の九条家の一年中野菜を食べたいとの注文に、3代目店主が工夫して考案した粕漬けが好評で、漬物専門店として特化した。粕漬けは1877(明治10)年に当時の滋賀県知事中井弘さんによって「長等漬(ながらづけ)」と名付けられ、1914(大正3)年には宮内省御用達となった。
今回のイベントでは、参加者が店舗奥の蔵で水ナスの漬物体験をし、「お茶漬け膳」を味わえる。
漬物体験では、趣のある蔵の中に入り、店主の小倉与七郎さんの指導で水ナスを漬ける。塩とミョウバンを混ぜたものを水ナスに塗り、ぬか床に漬け込む。小倉さんは「ナスの硬さによって塩の加減を変えた方がいい」とアドバイスする。小倉さんは触っただけで、そのナスに合う塩加減が分かるという。漬けた水ナスはお土産として持ち帰ることができる。
体験後は座敷で長等漬け、日の菜漬け、ゆず大根など10種の漬物が並ぶお茶漬け膳を味わう。おかみは「3年物の田舎漬けにはチーズが合う。一緒に食べると味わい深い。玉子の粕漬け、カツオくるみなど珍しい漬物もある」と話す。
小倉さんは「漬物を入れているおちょこも、お膳も100年ほど前の物。古い町家で歴史を感じて、漬物を味わってほしい」と話す。
大津商工会議所が主催する観光プログラム「みーつびわ湖大津」に合わせて特別に開催。
開催時間は15時~16時30分。料金は3,000円。申し込みはまちづくり大津(TEL 077-523-5010)まで。11月25日まで。