NKH Eテレの番組「デザインあ」のコンセプトを体験できる展覧会「デザインあ展in SHIGA」が12月14日、佐川美術館(守山市水保町)で始まった。
大きな弁当の中に入り、「梅干しのきもち」になって楽しむ子ども
2018(平成30)年から東京、山梨、熊本など全国各地で展開している展覧会で、「観察のへや」「概念のへや」「体感のへや」があり、デザインを体験することができる。関西での開催は滋賀県のみということもあり、14日は開館前から約50組が並び、9時30分から10時20分までの間に約300人が来場し、にぎわった。初日の来場者数は1524人。
「観察のへや」では、大きな弁当箱の中に入って「梅干し」になって撮影できる「梅干しのきもち」や、道路標識の禁止マークやリサイクルマーク、犬や人の形のマークを重ねて新しいピクトグラムを作る「マークだけの群れ」、名前を入力すると顔文字になる「名は顔をあらわす」などが子どもに人気で、順番を待つ行列ができた。人口比で文字の大小を変えた全国の約8万の名字を展示する「全国名字かずくらべ」では、虫眼鏡片手に親子3世代で自分の名字を探す姿も見られた。「デッサンあ」では、会場ごとに違うモチーフを展示し、滋賀会場では信楽焼のタヌキを設置。来場者は自分が描いたデッサンが大きなモニターに映し出されるのを見て喜んでいた。
「くうかん」「しくみ」「じかん」といった概念をデザインで体感できる「概念のへや」では、歯車に入って回転することで光や音がでる仕組みを体験する親子の姿が見られた。「体感のへや」では、小山田圭吾さんの音楽にシンクロする映像が展示室の四方の壁に映し出され、音楽に合わせて踊る子どももいた。
枚方市の中道知恵さんは「『デザインあ』の番組が好きで、展覧会が関西に来ることを心待ちにしていた。デザインが好きで、音楽もおしゃれで、子どもだけでなく親世代も楽しめる。テレビで見ているものを大きな世界で体験できることに、子どももわくわくしていた」と話した。
同館の学芸員、馬場まどかさんは「当館に常設展示している彫刻家の佐藤忠義先生の『子どもの心の豊かさを育てる情操教育ができる場を作りたい』との思いを受け、毎年冬に『さがわきっずみゅーじあむ』として子ども向けの展示をしている。子どもの頃に美術館に来たという記憶があれば、芸術が近い存在になるのではないかと考えている。押し付けにならないように『こう見なさい』という説明などはしない。見て触れて体験し、自分で考えてもらいたい。『デザインあ展』も説明はせずに自分で考えて作って体験できる展覧会なので、思いが一致した」と開催の経緯を話した。
「展覧会ディレクターの佐藤卓さんのアイデアで決まった滋賀会場にしかない展示もある。ヒントは佐川美術館の常設展示に似ている作品。会場で探してみてほしい」と呼び掛ける。
開館時間は9時30分~17時。月曜休館(1月13日・2月10日は開館)。12月31日・1月1日・14日は休館。入館料は、大人=1,000円、大学生・高校生=600円、中学生以下無料。2月11日まで。