発達支援の学習塾アットスクール(草津市大路)が5月26日、オンライン茶話会「子どものゲーム、スマホ漬けを考えよう」を実施した。
「ルールとペナルティーを子どもが決めることが大事」と話すアットスクール指導員の高野さん
アットスクールは新型コロナウイルスの影響で学校の休校が長期化する中、「保護者のストレスや不安の解消のために気軽に話ができる機会をつくりたい」と4月25日からビデオアプリ「Zoom」を使って保護者と支援者が話をする「オンライン茶話会」を実施している。社長の鈴木正樹さんは「発達課題を持つ子どもたちは、健常の子どもたち以上に生活リズムが乱れ、見通しの持てないことによる不安が増え家庭内でのトラブルも多くなることも。保護者や支援者がこれまで以上に落ち着いて対応することで、子どもたちの不安やトラブルも減少すると考え、保護者のケアが必要だと感じた」と話す。
1回目は「子どものイライラ、大人のイライラにどう向き合う?」、2回目は「子どもの育ちに大事なことは何?」をテーマに話し合い、3回目の5月26日は長期化する休校中に問題となっている子どもとゲーム、スマホとの関係について話し合った。アットスクールの鈴木さんと相談員の三浦千尋さん、高野雄志さんと、マインドフルラーニング代表の高橋有希子さん、滋賀県議会議員の駒井千代さんなどの支援者と5人の保護者が参加した。
保護者は「先に宿題を終えてからゲームをしてほしいが、宿題が終わらず、ゲームができず、寝ることができなくなり、悪循環になっている。どう対応すればいいか」「ゲームばかりでなく宿題もしてほしいが、宿題が嫌で勉強が嫌い、学校が嫌いになってしまうのは避けたい」などの悩みを話し、それに対して各支援者が意見を述べた。
高橋さんは「20年間指導してきた経験から、好きなこと、楽しいことを主体的に学ばせ、認められたと感じた子どもは、苦手なことにも取り組むようになる。ゲームには創造性を育てるという視点もある」と話した。
高野さんは「自分も中学高校時代はよくゲームをしていた。親が決めるのではなく、子どもと話し合って子どもがルールと破った時のペナルティーを決めればいいと思う。決めたペナルティーは徹底した方がいい。かわいそうだからと免除してしまうと、子どもはルールを破ってもいいと思ってしまう」とアドバイスした。
異才ネットワーク(大津市浜大津)の谷川知さんは「自分の子育ての経験から言うと、もし子どもにユーチューブを禁止していたら、今のように育たなかったと思う。私の子どもは認知特性が視覚優位で、画像だけが頭に残る。手品の動画を見続けて、日本だけでは飽き足りず、イギリスのマジック動画を見るようになり、英語を覚えて留学をした。必ずしもゲームやスマホ、ユーチューブに制限をつけることがいいとは限らない。偏りを持っている子は一般的に言われているものとは違うのではないか」と話した。
保護者として参加した草津市の草川愛さんは「いろいろな視点のお話が聞けて参考になった。子どもは何も考えずにゲームをして、私が気になったらやめさせるのではなく、本人の意見を聞いて一緒にルールを決めてみようと思う」と話した。
鈴木さんは「これからの時代は正解を求めていく時代ではない。ゲームやスマホとの関わりに、これが正解というのはないが、年齢や発達に合わせて、子ども自身が自分で判断していくべきだと思う。親が決めなくてはいけないということはない。親は子どもを信じて『この子なら大丈夫、分かってくれる』と待ってあげれば、安心できた子どもは新しいこと、困難なことにも挑めるのではないか」と締めくくった。
オンライン茶話会の4回目も同じテーマで実施される。開催日時は6月13日11時~12時。