T&S健康スポーツ研究所(草津市西大路町)のオンラインスクールに5月24日・31日、乾貴士選手(SDエイバル)と楠神順平選手(南葛SC)が出演した。
同社は、滋賀県内でサッカー、野球などのスクールを開いているが、新型コロナウイルスの影響で休校し、4月から5月末までオンライン指導をしていた。現在野洲高校サッカー部コーチで、以前同社のサッカースクールでコーチをしていた瀧川陽(あきら)さんの呼び掛けで、野洲高校時代のチームメイトの乾選手、楠神選手がオンラインスクールに参加した。3人は第84回全国高校サッカー選手権大会優勝メンバー。瀧川さんは「子どもたちに夢について考えるきっかけを提供したい。Jリーグのない滋賀県の子どもたちにプロの第一線で活躍する選手との関わりを通して夢を持ってもらいたいとの思いから両選手に声を掛けた」と話す。
オンラインスクールには47人が参加。瀧川さんの「夢について考えるきっかけになればうれしい。みんなで最高の時間をつくりましょう」という呼び掛けで始まり、子どもたちが乾選手、楠神選手に質問をした。
子どもからの「どうやったらリフティングがうまくなりますか」という質問には、楠神選手は「上手な人のまねをすること。そして、毎日たくさんボールに触ることで、少しずつ上手になれる」、乾選手は「同じ高さにコントロールすることでリフティングが上手になると思う」と答えた。「自分のプレーに自信が持てない」という子どもには、楠神選手は「とにかくたくさん練習すること。そうすることで相手よりも気持ちの部分で優位に立てて、落ち着いて余裕を持ってプレーできるようになると思う。相手よりもたくさん練習していると自分で思えることは自信を持ってプレーすることにつながる」、乾選手は「僕よりもうまい選手はたくさんいるし、僕も自分のプレーには自信を持てていない。ただ、『チームのためにプレーする』という部分においては誰よりも強い思いを持っている自信がある。自分の思いに自信を持ってプレーすることは大切だと思う」とアドバイスした。
時間内で子どもたちの質問に答えられなかったことから、31日にも両選手が参加し、オンラインスクールが実施された。子どもたちの質問に答え、楠神選手が所属する南葛SCの選手が考案した「南葛SCたいそう」を踊った。乾選手は毎日日本時間夜8時に医療従事者への感謝を表す拍手をインスタライブで公開していて、子どもたちも一緒に拍手をしてインスタライブに出演する場面も。
大津市の小学5年生北川隼颯(はやて)くんは「話すチャンスのない選手たちに質問に答えてもらえてうれしかった。リフティングをもっと頑張りたいと思った」と話した。母親の北川香織さんは「友だちと遊べず一人で家にいることが多い息子にとって、憧れの選手と一緒に時間を過ごすことができ、とても良い経験、良い刺激になった。自然な姿で分け隔てなく温かく接していただき、うれしく思った。人と繋がることの大切さも改めて感じさせてもらった」と話した。
同社の古畑雄一朗さんは「選手たちはプロとして日々努力を重ね、厳しい環境に身を置きながら頭と体をフルに使い一生懸命頑張っていることや、子どもの頃から目標や目的を明確に持って進んでいたことを子どもたちに伝えられてよかった。選手は子どもたちの質問に丁寧に優しく答えてくださった。プロの第一線で活躍するには技術面だけでなく、人間性の部分が大切だということも学んだ。子どもたちは一流選手を身近に感じることで、ぼんやりとした夢の輪郭がはっきりしたのではないか。子どもたちのキラキラした表情を見て、私もハッピーな気持ちになった。子どもたちのために、時間を作ってくださった選手に感謝している」と話した。