![8月31日で閉店する西武大津店 階段状の外観が地域のランドマークだった](https://images.keizai.biz/biwako-otsu_keizai/headline/1598415753_photo.jpg)
西武大津店(大津市におの浜)が8月31日、閉店する。店内にはメッセージボードが設置され、来店客は西武大津店の思い出を書き込んだ。
西武大津店は1976(昭和51)年6月に琵琶湖岸の埋め立て地に開店。西武グループ創業者の堤康次郎さんが滋賀県出身だったことから、西武百貨店の中でも初期に開店した。郊外型のショッピングセンターとして家族連れをターゲットに、地域コミュニティーの中心となることを目指した。菊竹清訓さんが設計した建物は階段状の外観が特徴的で、ランドマークとしての役割も果たした。6階~7階の吹き抜けには「バードパラダイス」があり、三角形のガラス張りの温室に木を植え、水が流れ、多数の鳥が飛んでいた。
1階に設置されたメッセージボードには「小さい頃に親に連れてきてもらった」「青春の百貨店」「初めてアルバイトをした店」など地域の人からのメッセージが寄せられた。
44年間の歩みを振り返るパネル展も開催され、開店当初の賑(にぎ)わう店内や建設途中の様子、開店を知らせる新聞広告などが展示されている。当時ブームとなっていた未確認動物「ネッシー」のような動物が湖で泳ぐ写真に「6月某日、びわ湖に出るぞ」とだけ書かれた新聞広告は、何かが起こる期待感をわき起こさせ、話題となった。
ファミリー層に特化した百貨店で、2014(平成26)年には子ども向け施設「育(はぐ)ママセンター」を設置。子育て世代向けの講座を企画し、子どもと保護者の学びの場として親しまれた。「育ママセンター」は新型コロナウイルスの影響で春から閉鎖し、再開することなく閉店を迎えることとなった。育ママセンターを囲うパーティションには「親子でお世話になった」「子どもの成長を実感できた」「行き詰ったとき、ここに来るとほっとした」などの親子からのメッセージが貼られている。
営業時間は10時~19時30分。
同店の土地は2019(平成31)年に長谷工コーポレーション(東京都港区)が取得。全てマンションにする予定で行政や地元と協議中とのこと。