起業家の交流会「EN-teras MORIYAMA(エンテラスモリヤマ)」が4月15日、あまがいけプラザ(守山市勝部町)で開催された。
滋賀県内の起業家や後継者が起業の経緯などを発表し、課題やビジョンを共有する交流会で、2018(平成30)年から始め、今回で7回目。主宰は清原(守山市古高町)社長の清原大晶さんと「いと」(同三宅町)社長の山崎いずみさん。清原さんは「4年前、創業者である祖父が他界した時に多くの人から苦労話を聞き、後継者こそもっと苦労しないといけないと感じ、実際に起業した人の話を聞く機会をつくりたいと思った」と開催のきっかけを振り返る。
15日は、引退した競走馬支援と障がいのある子どものホースセラピーをする「TCCセラピーパーク」(栗東市六地蔵)を運営する山本高之さん、「もりやまフルーツランド」の事業継承をしたザ・コロナパークス(守山市幸津川町)社長の上野和人さん、現役を引退し「人生最幸」(守山市播磨田町)を設立した元Jリーガーの村田和哉さんの3人が登壇。起業のきっかけや事業内容などについて話をした。守山市内の経営者や市議会議員、守山商工会議所の職員などが出席した。
山本さんは東京で起業したが、「やりたいことが分からない」と日々ストレスを抱えていた時に、「やりたいこと」ではなく、「社会に役立つこと」を探そうと、地元の栗東市に帰り、「人と馬の福祉」をテーマとした事業を始めた。8割以上が殺処分されている引退した競争馬を引き取り世話をする「ホースシェルター」の運営と、「ホースセラピー」として、支援が必要な子どものために馬を活用した療育をする放課後等デイサービスの運営をしている。今後は馬を使った観光事業の展開も考えているという。
上野さんは大阪で花と果物を生産し、販売している「フロリスト・コロナ」の経営者で、「もりやまフルーツランド」の事業継承をした。同農園は1995(平成7)年に開場したナシ園だが、生産者の高齢化などで耕作放棄地が増えてきていた。借地権の契約が今年12月31日で終わることもあり、さらに耕作放棄地が増えることが予想され、2018年にフロリスト・コロナに事業継承の依頼があった。上野さんは「農業を離れる人が増えている原因の一つが、農家が売価を決められないこと。生産事業と流通事業をすることで新しい農業の形をつくりたい。産業化できれば地域創生につながる」と話す。ナシ狩りとイチゴ狩りができる観光農園も始める予定。上野さんは「初めて来た時に農園から見える琵琶湖の景色に感動した。地元の人には当たり前の景色も、観光資源になる。外から来たからこそ気付く価値がある」と話す。
村田さんは守山市出身でJリーグ清水エスパルスなどで活躍。引退後、「滋賀県にJリーグをつくる」ことを目標に会社を設立した。村田さんは「現役時代にプレーした静岡や山口は子どもから高齢者まで、まち全体で応援してくれた。チームづくりはまちづくり。サッカーに興味のない人も巻き込み、オール滋賀で夢をかなえたい」と話す。6月からは小学生を対象としたサッカースクールを開校する。「将来、あらゆる分野リードするような人材を育てたい」と、サッカーの練習のほか、地元企業の訪問や市内の経営者による講演、市内の名所を訪問する地域交流も予定している。村田さんは「子どもに夢を持ってほしいと伝えるためにも、大人が夢を語れるようにしたい」と話す。