見る・遊ぶ 学ぶ・知る

高校サッカー選手権アナの奮闘描く書籍を共著、元びわ湖放送牧田さんに聞く

「第100回全国高校サッカー選手権記念 伝えたい、この想い アナウンサーたちのロッカールーム」を持つ牧田もりかつさん

「第100回全国高校サッカー選手権記念 伝えたい、この想い アナウンサーたちのロッカールーム」を持つ牧田もりかつさん

  • 10

  •  

 全国高校サッカー選手権の中継を担当したアナウンサーによる書籍「第100回全国高校サッカー選手権記念 伝えたい、この想(おも)い アナウンサーたちのロッカールーム」が12月1日、出版され、滋賀県を担当した牧田もりかつアナウンサーがびわ湖大津経済新聞のインタビューに応じた。

「第100回全国高校サッカー選手権記念 伝えたい、この想い アナウンサーたちのロッカールーム」

[広告]

 同書は、日本テレビアナウンサーの藤井貴彦さんが、同じ時代に実況やベンチリポートなどを担当した15人のアナウンサーに声を掛けて執筆。執筆に参加したアナウンサーは、牧田さん(元びわ湖放送、現フリー)のほか、福岡竜馬さん(福岡放送)、岡崎和久さん(札幌テレビ)、平井雅幸さん(テレビ岩手)、小澤昭博さん(読売テレビ)、佐藤肖嗣さん(長崎国際テレビ)、平田雅輝さん(三重テレビ)、梶原誠さん(KBS京都)、岡本善久さん(鹿児島読売テレビ)、田中憲行さん(テレビ金沢)、湯浅明彦さん(サンテレビジョン)、田邊研一郎さん(日本テレビ)、森拓磨さん(広島テレビ)、上野透さん(北日本放送)、山本紘之さん(日本テレビ)。藤井さんが、第99回大会が無観客で開催されたことにより運営が赤字に陥っていることを知ったのがきっかけという。

 全国高校サッカー選手権は日本テレビ系列だけでなく、沖縄テレビ(フジテレビ系列)や宮崎放送(TBS系列)、びわ湖放送、KBS京都などの地方U局、合わせて43社の民放放送が協力して中継を行っている。同書では、全国からアナウンサーが集まり番組を作る過程やアナウンサーが取材したときのエピソード、応援席リポーターの奮闘、生放送でのハプニングなどを紹介している。各ページにあるQRコードを読み込むと、高校サッカー選手権の名場面や現在プロで活躍する選手の高校時代のプレーなどを動画で見ることができる。

 牧田さんは、第71回から第89回大会まで実況やベンチリポートなどを担当。第84回大会で優勝した野洲高校(野洲市行畑)の乾貴士選手(セレッソ大阪)や第72回大会1回戦で滋賀県代表の守山北高校(守山市笠原町)と対戦した韮崎高校(山梨県)の中田英寿選手などの取材にも当たった。

 牧田さんは「11月末の抽選会で試合の組み合わせが決まると、滋賀県代表の高校だけでなく、対戦相手の高校にも出向いて取材した」と当時を懐かしむ。

 高校での取材で気を付けていたことについて、牧田さんは「プロに内定している選手もいたが、高校サッカーが終わると就職するという選手も多かった。災害救助などで皆のために働きたいから自衛隊に入るという選手もいた。『この子に頑張ってほしい』と思ってもらえるような情報を視聴者に伝えられるように取材した」と話す。

 印象に残っている選手は中田英寿さんという牧田さん。「高校時代から世代の代表に選ばれ、勉強する時間もなかったようだが、テスト前に職員室に行き、各教科の教諭に出題範囲を聞くだけでトップクラスの成績を保っていると聞いた。時間がなくても高い集中力で結果を出しているところに感心した」と振り返る。

 当時の苦労について、牧田さんは「当時はスマホで地図検索もできず、知らない町を走り回って情報を集めた。取材しても実況で使えるのは10分の1もない。それでも選手のいろいろな背景を視聴者の皆さんに楽しんでもらいたいと取材した。当時、一緒に高校サッカーの中継に関わったアナウンサーは戦友。今でも連絡を取り合っている」と話す。

 インタビューの中で牧田さんは、「この本は、藤井さんの高校サッカーに対する愛情と藤井さんの人柄がなければ成立しなかった。皆、藤井さんのためなら手伝おうと協力した。藤井さん一人で1冊書けるくらい取材をしていて、ネタがあったと思うが、地方のアナウンサーにも光を当ててくれたことに感謝している」と力を込めた。

 同書は四六判・192ページ。価格は1,650円。印税の全額を全国高校サッカー選手権に寄付する。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース