イワナの特殊斑紋個体である「ナガレモンイワナ」の常設展示が9月27日、琵琶湖博物館(草津市下物町)で始まった。常設展示は日本初。
ナガレモンイワナと通常のイワナの比較(a:ナガレモンイワナ、b:イワナ)
「ナガレモンイワナ」は、ヤマトイワナの変異型を指す名称。通常のイワナは体側にパーマークと呼ばれる斑紋があり、模様が規則的に並んでいるが、「ナガレモンイワナ」は「流れ紋」の名の通り、体側の斑紋が流れたようなしま模様をしている。滋賀県北東部の姉川上流域の一部の河川に「ナガレモンイワナ」が集団で生息する地域がある。ほかの地域でもごくまれに流れ紋の個体が生じることがあるが、集団で生息するのは全国でも滋賀県だけ。
琵琶湖博物館の学芸員川瀬成吾さんは「ナガレモンイワナは、通常のイワナと色彩に関する遺伝子が異なる。通常のイワナと交配すると子孫は流れ紋が出ない。なぜ、滋賀県にだけナガレモンイワナの集団が残されたのか、詳しいことはまだ分かっていない」と話す。
ナガレモンイワナは全国でも生息地が限定されていて、生息数も減少していたことから、2013(平成25)年から生息地が禁漁区となり、厳重に保護されている。展示する個体は、滋賀県水産試験場(醒井養鱒場)で研究用に飼育されているナガレモンイワナを譲り受けた。
川瀬さんは「滋賀県に特別なイワナの集団がいるということを知り、大切に守らないといけないという意識が広まれば」と話す。
開館時間は9時30分~17時。入館料は、大人=800円、高校生・大学生=450円、中学生以下無料。入館にはホームページから予約が必要。