干支(えと)の「卯(う)」にちなみ、「ウサギギギ」の標本が現在、琵琶湖博物館(草津市下物町)で展示されている。
「ウサギギギ」は韓国の洛東江水系にのみ生息するナマズ目ギギ科の淡水魚。1939(昭和14)年に魚類学者の内田恵太郎さんが「やや丸い体の感じ」からウサギを連想して名付けた。琵琶湖博物館によると、和名で唯一「ウサギ」が名前に付く淡水魚という。2005年には韓国で天然記念物に指定されている。展示するウサギギギの標本は、国立科学博物館(東京都)の所蔵。
ウサギギギの標本と共に「ネコギギ」の生体も展示。ネコギギは日本の東海地方にのみ生息する淡水魚で、ウサギギギの姉妹種。外見や生態がよく似ている。琵琶湖博物館学芸員の田畑諒一さんは「よく似ているのに遠く離れた場所に分布している不思議な魚。研究者の間ではどちらがかわいいか、よく話題になる」と笑顔を見せる。
ネコギギは、戦前は多く見られたが、現在では絶滅の危機にひんしており、日本で天然記念物の指定を受けている。琵琶湖博物館では三重県いなべ市と協力してネコギギの繁殖に取り組んでいる。田畑さんは「展示を通してこんな魚がいるということを知り、希少な淡水魚の保全にも興味を持ってもらえれば」と期待を寄せる。
開館時間は9時30分~17時。月曜休館(1月23日から27日はメンテナンス休館)。入館料は、大人=800円、高校生・大学生=450円、中学生以下無料。ウサギギギの標本とネコギギの生体は水族展示室「よみがえれ!!日本の淡水魚」保護増殖センター前特設コーナーで展示している。2月26日まで。