カウンセリングや子どもが対象の「プレイセラピー」を行う「pointぽわん(ぽわんぽわん)」(大津市馬場2)が来年1月、膳所駅前に開設される。
滋賀大学発のベンチャー企業「イヴケア」が運営する同所。心理士によるカウンセリングや毛髪の中に蓄積されたストレスホルモンと抗ストレスホルモンを測定するストレス診断のほか、子どもを対象に言葉や遊びをセラピストとの交流や表現の手段として用いる心理療法「プレイセラピー」を行う。
「プレイセラピー」について、滋賀大学教育学部出身でイヴケア社長の五十棲計さんは「守られた自由な空間で子どもたちは遊びを通じて自分自身の内的な世界を探索する。自己治癒力の活性化や関係性の育みといった有効性が世界中で確認されており、心理的な問題や発達的な問題のある子どもなどに幅広く適用することができるが、滋賀県内にはプレイセラピーを行う施設が2カ所しかない」と話す。同所は、「膳所にも、子どもたちの心の成長に貢献し、保護者を支援する場をつくりたい」と開設した。
毛髪のストレス診断は「ストレスを可視化するため」だという。後頭部の髪の毛10センチほどから、蓄積されたストレスホルモン(コルチゾール)と抗ストレスホルモン(DHEA)を測定する。五十棲さんは「いじめが長期化すると認知がゆがみ、自分がストレスを感じていることさえ分からなくなる。客観的にストレスを数値化し、ストレスに対して体がどれくらい反応しているか、ストレスに負けない体づくりができているかなどが分かる」と話す。
「イヴケア」の起業について、五十棲さんは「大学でいじめの研究をしていた時に身体的な負担感の見える化が必要と感じたから」と振り返る。毛髪からストレスを測定する研究を手がけていた同大教授の大平雅子さんと臨床心理士で同大教授の芦谷道子さんの協力を得て、ストレスの測定とケアができる場所を開設したという。
五十棲さんは「滋賀で生まれた会社として、地域の子どもの心の課題を解決しながら、世界のメンタルヘルス課題の解決にもつなげていければ」と意気込む。
「プレイセラピー」施設の充実のために現在、クラウドファンディングで協力を呼びかけている。