「輝く個性!こだわりストたちの世界-たいぞう×Abeille's(アベイユズ)アーティストコラボ展2024-」が現在、近鉄百貨店草津店2階アカリスポットで開催されている。
よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属の芸人で、大阪府障害者芸術・文化大使を務める「たいぞう」さんと、障害者の芸術家プロダクション「Abeille(アベイユ)」所属のアーティスト8人の作品33点を展示販売している。
「あん」さんの「collection of personalities」は、抽象的な模様を繰り返し描いた作品。2日間不眠不休で描き上げたという。羽戸康貴さんの「怒」は、板にアクリル絵の具を手に付けて殴るように描いた作品。羽戸さんは「怒りながら手で描いて、トラのひげは爪で引っかいて表現した。2日後に冷静になって少し修正した」と話す。
長い間引きこもっていた須川純一さんは、鉛筆とボールペンで繊細な絵を描く。行政から相談を受けてAbeille社長の河瀬有子さんが家を訪れると、部屋に何百枚も絵があり、河瀬さんがすぐに個展を開くことを提案したという。河瀬さんは「須川さんが毎日会場に来てくれて、日を増すごとに顔つきが変わって、生き生きとし始めたのが分かった。ちょっとしたきっかけで生活がいい方向に向かうのなら、やってよかったと感じた」と振り返る。須川さんの作品を購入した長瀬あかねさんは「重く、訴えかけてくるような絵。心にガンときて須川さんの絵に引かれた」と話す。
河瀬さんは「私がこういう思いで描いただろうと思って本人に聞くと、全く違っていたりする。固定観念にとらわれず、その人しか分からない感覚で描いているのが面白い。自由な絵に刺激を受けに来てほしい」と話す。
河瀬さんが障害者アーティストのプロデュースや展示販売を始めたのは、友人の言葉がきっかけ。「ボランティアで障害のある子どもの絵を知り合いに紹介していた。友人の子どもの絵が売れた時に『作品を通して社会に参加できた』と泣いて喜んでくれた。収益を本人に還元するためにも法人化して展示即売会をしたいと思った」と振り返る。展示販売だけでなく、絵をデザインしたグッズも販売し、アーティストにはデザイン使用料が入る仕組みもつくった。「本人の気持ちを一番大切にしたい」と、「絵を売ったことで悲しくなるのかうれしくなるのか分からない」と話すSANAMIさんの絵は原画を販売せず、ポストカードの販売のみを請け負っている。
芸人、アーティストとして活動し、大人になってから発達障害であると診断されたたいぞうさんと出会い、2024年8月に吉本興業がプロデュースするアートギャラリー「Laugh & Peace Art Gallery」(大阪市)でたいぞうさんとAbeille所属のアーティストのコラボ展を初開催した。
河瀬さんは「たいぞうさんは得意なことを生かして仕事にしている。コラボ展のキービジュアルはたいぞうさんに描いてもらった。8人のアーティストの真ん中にいるさなぎがたいぞうさんだと聞いた。たいぞうさんは『自分は障害者としてスタートしたばかりなのでさなぎ。みんなで力を合わせて竜のように飛び立っていきたい』と言っていた」と話す。
期間中、23日・24日・30日・12月1日はたいぞうさんが在廊し、1日3人限定で来場者をイメージした絵をその場で描く「あなたを描きます」を行う。24日と1日はアート漫談を披露する。
開催時間は10時~19時30分(最終日は14時まで)。入場無料。12月2日まで。