
町家の魅力を発信するイベント「町家の日」が3月8日から16日まで大津市内で開催された。
町家の日は京町家情報センター(京都市)が2016(平成28)年に制定。3月を英語で「マーチ」と、8日を「や」と読ませる。毎年、同日を中心に京都、金沢などでイベントを開催している。
今年は盛岡、金沢、京都など全国8カ所で「町家の日」のイベントが開催され、大津では、市内の町家を巡るまち歩きや町家で人形浄瑠璃乙女文楽座公演などが行われた。
3月10日、「大人の寺小屋 余白」(大津市三井寺町)では、空間構成作家のミヤケマイさんが同所を訪れた人を案内する様子が見られた。同所は築120年の町家。ミヤケさんが古民家再生補助金を活用し、15年間空き家となっていた三軒長屋を改装した。月に5日だけ「大人の寺子屋」を開校し、茶道や漢詩、みそ作りなどのワークショップを開催している。120年前の土壁をそのまま利用したり廃材を天井に再利用したりするなど、古いしつらえを生かした空間の随所に掛け軸や唐紙のふすまなどミヤケさんの作品を配置している。見学した大津市の女性は「町家の雰囲気も調度品も全てすてき」と話していた。
大津は旧東海道で京の都に入る最後の宿場町として江戸時代から明治にかけて栄え、町割りが100を超えていたことから「大津百町」と呼ばれていた。江戸時代から昭和初期に建てられた町家が約1500軒あるが、100軒以上が空き家となっている。
ミヤケさんは「古民家再生の一例。日本の建物、生活様式の良さを感じてもらえると思う。町家の日をきっかけに地元の人が来てくれて、新しい人に出会えた」と喜ぶ。