大津のNPO法人「マイママ・セラピー」(大津市中央1)が運営するママのための保健室「マイママhouse(ハウス)」が来年15年目を迎える。同NPOが尽力し10月に始まった、陣痛・破水時の妊婦を病院へ送迎する「ゆりかごタクシー」でも11月には初の利用があった。
2000年4月、子どものための支援はあるが母親のための支援がないことをきっかけに創設された同NPO。産後のホルモンが不安定な時期、子育てに専念するのか職場復帰するのかなどの選択を決意しなければならない時に自分で解決する手伝いをするなどママが自分を大切にする場所が「ママの保健室」。
離乳食の作り方などの栄養指導や歯科指導のほか、「私の未来予想図」の作成、それをもとに「夢を語り合う」など5回にわたる親子教室は、およそ2カ月に1回開く。開設以来、200人のママが参加。11月21日、0歳児のママを対象にした「にじ組」が最終回となった。
参加者は笑顔で充実感を語った。大津市在住の中川美穂さんは「託児をきっかけに参加。いい意味で期待を裏切られ自分の成長も得ることができた」、中村美紀さんは「子どもと一緒に閉じこもることがなくなった。話を聞いてもらう中で、外へ出て挑戦していこうという気持ちになった」、西彩子さんは「2人目の子どもとの関係を濃密にしたいと参加。自分のことを考えられるようになり問題も解決できた」、杉浦美智子さんは「子育ては大変だが、共有し合える心のよりどころができた。自分を見つめ直すことも」。
同NPO理事長の押栗泰代さんは「保健室なので回復してもらわないといけない。子どもを育てる人たちが元気になるための手伝いを地域密着で行っている。お母さんたちが安心できる居場所を提供し、何が欲しいかを吸い上げ実現していくことが目的」と笑顔で話す。「書き出したり、語り合ったりする作業で埋もれた能力も出てくる。女性が元気になると社会も元気になる」とも。10人のスタッフが幼児教育、裁縫などのスキルを生かし担当するが、看護学やカウンセリングを習得する押栗さんは、年齢別の親子教室の中でも0歳児を担当する。
「ゆりかごタクシー」については、「マイママの小さな社会が声を上げることでタクシー協会、行政・国を動かし社会を変えられた。今までの取り組みの成果。さらにママたちの声を受け、家事支援や宿泊の託児も検討している」という。同タクシーはホームページから登録することもできる。