ユニバーサルデザイン子ども服を扱う「ひよこ屋」(守山市守山2、TEL 077-584-4741)が昨年6月からネット販売を始め、1年半で販売した子ども服は100着を超えた。
社長の岩倉絹枝さんは息子が生後すぐに病気で入院。24時間看護のため、病院に寝泊まりし、会社に出勤していたが、先の見えない状況の中、仕事の意味も考えるようになった。看病をしていた時、「こんな服があったら便利なのに」「病気でもかわいい服を着させたい」と同じ思いを持つ母たちが多くいることに気付く。「このままでいいのか。何かしたい」とツイッターでつぶやいていたところ、「アパレルなら手伝える」とマタニティーウエアショップを経営するデザイナーの佐藤紗矢香さんがリツイートしてきた。知識も経験もない岩倉さんの背中を押してくれた。生産や販路などリスクはあったが「やらないといけない」との強い意思と勇気の方が勝った。
初めて作ったのが「ショルダーオープンパジャマ」で、点滴をしていても肩から先がボタンになっていて全開できる。下着やオムツの交換がしやすいように股下がボタンになっているパンツとのセット(3,980円)で販売する。自分を含め、着替えができない子どもを持つ母のニーズだった。機能性だけではなく「病気でも子どもにかわいい服を着させたいのは当たり前」と色やデザインも豊富にそろえる。国内にはなかったため、アメリカやイギリスのメーカーに直接交渉し低コストで輸入したものも販売。中でもよく売れるのが脱衣防止パジャマ「リトルキーパースリーパー」(3,980円)だ。双子の脱衣に困っていた親が考案したもので、首の後ろのボタンはカバーで二重になっているため外れにくく、内側もタグレスで肌に気にならない。背骨から片足の先までジッパーになっていて脱衣する時には便利という。
「オーダーメードは高いので毎日気軽に着られる既成品を提供したい。純粋にかわいい服を楽しんでいる。『助かった』と言ってくれる人がいたらうれしい」と笑顔で話す岩倉さんにはリピーターも多い。先日も服を購入した子どもの介護施設から喜びの手紙が届いた。「現在は0歳から中学生くらいまでのサイズ展開だが、将来的にはアダルトやシニアも手掛けていきたい」と意欲を見せる。