大津市公園緑地協会(大津市浜大津4)がスマートフォンの活用で公園管理業務の効率化に成果を上げ、10月から一般市民向けの実証実験を開始した。
大津市内213カ所の公立公園を管理する同協会。職員が今年4月から利用を始めた「おおつ公園レポ」と名付けられたシステムは、スマートフォンを携帯した職員が公園の遊具などを撮影した写真とGPSで得られた詳細な位置情報をその場から投稿できる仕組みで、不具合箇所の修繕前後の状態もあわせて管理できるように工夫されている。修繕に関わった職員数や対応時間なども現場から投稿できるようにし、データベース化された情報は作業日報作成、不具合箇所の履歴管理や傾向分析などにも活用されている。
同協会の北村豊さんは「最初はなじめなかった職員も、今ではないと困るという声も聞く。仕事の成果を確認できるのもやりがいにつながっている」と話す。
同システム導入のきっかけは同協会理事長の拾井道夫さんが見たテレビ番組にあるという。米国で利用が進む市民が街の課題を投稿するネットサービスが紹介された番組は、市民が見つけた落書きをスマートフォンで撮影し、アプリを通じて市役所へ通報、その翌日に清掃車が落書きを消すというもの。同じようなサービスは千葉市や愛知県半田市が導入済みで、大阪市などいくつかの自治体が実証実験を行っている。
拾井さんは「職員も定期巡回しているが、普段利用する市民から画像や位置情報を含めた情報をいただくことで、より迅速に対応ができると考えた」と意欲を見せる。
10月1日からは一部の公園を対象に一般市民に参加してもらう実証実験を開始した。自治会の回覧板などで参加者を募ったところ、これまでに14人の登録があり、投稿も20件程度寄せられている。危険箇所の早期修繕につながった事例もあるという。投稿者のプライバシーに配慮し、投稿された不具合箇所などの情報は一般公開はせず、内容によっては投稿者と同協会職員が直接やりとりし、市民と一体となった安全安心な公園管理業務につなげる。
拾井さんは同システムについて「オープンソースを活用するなど工夫して導入コストを抑えた。システムだけではなく、導入に必要なノウハウも提供するので、大津モデルをほかの団体にもぜひ活用してもらいたい」と呼び掛ける。
実証実験は来年1月31日までを予定し、現在も参加者を募集している。申し込み方法はホームページで確認できる。