乗馬や馬の世話を通して発達支援をする児童発達支援・放課後等デイサービス「PONY KIDS」(栗東市六地蔵)は、新型コロナウイルス感染拡大防止のために一斉休校となったことを受け、支援が必要な児童・生徒の臨時預かりを始めた。
「PONY KIDS」がある「TCCセラピーパーク」では引退馬を引き取り、けがを治療して馬の「セカンドキャリア」を探している
同施設は、引退した競走馬の「ホースシェルター」である「TCCセラピーパーク」内にあり、支援が必要な3歳~18歳の子どもに馬を活用した療育(ホースセラピー)を提供する。乗馬、馬の手入れ、馬の飼育管理、馬小屋の管理、馬の観察などを通じて精神機能と運動機能を向上させ、社会生活能力を高める。学校があるときは放課後に活動し、長期休暇中は朝から活動をしているが、2月28日の休校要請を受け、3月2日より朝9時から利用者の受け入れを始めた。
同施設管理者で理学療法士の山本妃呂己さんは「急きょスタッフに声を掛け、放課後だけでなく朝からの受け入れを始めた。活動中に2回検温し、通常以上に換気するなど注意をしている。乗馬など屋外活動もあるので、体を動かすことでストレスの解消にもなる」と話す。
山本さんは「馬は静かな動物。子どもたちはお世話をすることで生き物の温度を感じて癒やされる。人との距離感が分からない子どもも多いが、大きな馬と接することで適切な距離感を学ぶこともできる。また、話せない動物に対して何をしてあげたらいいか考えることも精神機能の向上に役立つ」と話す。
15時からは馬小屋の掃除をして、引退した競走馬「ラッキーハンター」や、ポニーに1人ずつ乗る。乗馬しながら輪投げやキャッチボール、お手玉をする子どもも。山本さんは「乗馬をしながら別の動作をすることは脳の発達にもいい。筋力の弱い子どもも乗馬することで体幹が鍛えられる。多動傾向のある子どもも、馬の上では落ち着いてコミュニケーションすることもできる。大きな馬をコントロールすることで自信にもつながる」と乗馬の効果を説明する。
山本さんは「引退馬のセカンドキャリアを見つけて全国の乗馬クラブや福祉施設に送り出すという『馬の福祉』と、ホースセラピーで子どもの発達を促す『人の福祉』を両立している。馬にも子どもにも、お互いにとっていい刺激となっている」と話す。