フードロス削減ショップ「エコイート大津瀬田店」が9月9日、大津市萱野浦にオープンした。
災害用保存食は普段は販売しているが、災害時には被災地に寄付をする
食品ロスを減らすことを目的に、賞味期限が迫る商品、賞味期限切れ商品、規格外商品など、市場に出すことはできないが安全に食べることができる食品を事業者から買い取り、市場価格より安価で再販する。店の売り上げの一部を福祉団体などに寄付する。「日本もったいない食品センター」の協力を得て、雑貨の卸販売をしているゾーンプラス(大津市瀬田)が運営する。
ゾーンプラス社長の橋本広宣さんが雑貨や食品の販売をする中で、「雑貨は流行が終わったら、食品は賞味期限が切れたら廃棄していた。もったいないと感じていたとき、NPO法人の『日本もったいない食品センター』を知り、問い合わせた」と食品ロスに関心を持ったきっかけを振り返る。橋本さんは「日本は食品衛生がしっかりしている反面、食品ロスを出すきっかけが多い。賞味期限というのはおいしく食べられる期限で、過ぎてからも食べることができる。パッケージ、成分などで判断して、安全に食べることのできるものを販売している」と話す。
今年は新型コロナウイルスの影響もあり、居酒屋で提供していたスナック菓子がメーカーの倉庫から一度も出荷されることなく賞味期限が切れ、食品ロスとなった。また、東京オリンピック限定デザインの商品が販売できずに大量に返品された。本来廃棄されるはずだった商品をメーカーから買い取り、店頭に並べている。橋本さんは「一度に大量に同じ商品が来るので品ぞろえに偏りがあるが、開店して半年ほどたつと、種類も増えると思う」と話す。
市場価格より安価で販売するが、橋本さんは「ディスカウントが目的ではなく、食品ロスを出さないことが目的。まずは、賞味期限に対するお客さんの意識を変えたい。店を見るだけでも、世の中でこれだけの食品が捨てられていることが分かる。一般的に、賞味期限は短めに設定されていることが多い。缶詰なら、缶に破損やさびがなければ10年から20年は食べられる。賞味期限が切れると食感が変わるものもあるが、安全に食べることができることを伝えていきたい」と話す。
店頭には災害用の保存食も並ぶ。橋本さんは「保存食は期限が切れていない正規品も取り扱っている。普段は販売しているが、自然災害時には各店舗から集めて被災地に寄付する。災害発生時に保存食を買おうと思っても売り切れている場合が多いので、店舗で保管し、災害への備えという機能も果たしている」と説明する。
8月に大津市社会福祉協議会にお菓子を75万円分寄付した。橋本さんは「日本では経済格差がそれほどないが、実は、おなかいっぱいご飯を食べて、満足にお菓子を食べているのは4人に3人くらい。4人に1人はもうちょっと食べたいと思っている。今後、店の経費を賄えるようになったら、母子家庭や子ども食堂に定期的に食品提供をしていきたい」と食糧支援にも取り組む。
「いずれは、滋賀県内の農家から出荷基準に満たなかった野菜や果物を仕入れて販売もしたい。安価で販売することで地域の人たちの生活にも貢献したい」と地域貢献にも力を入れる。
営業時間は10時30分~19時。水曜定休。