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琵琶湖博物館で江戸時代のふなずし 現代のふなずしとの違い紹介

ふなずしの研究をしている学芸員の橋本道範さん

ふなずしの研究をしている学芸員の橋本道範さん

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 琵琶湖博物館(草津市下物町)で12月1日、「いまとは違った江戸時代のフナズシ」の展示が始まった。

江戸時代のふなずしについて記載されている「合類日用料理抄」

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 琵琶湖博物館は1996(平成8)年にオープンした「湖と人間」をテーマにした総合博物館。10月10日のリニューアルオープン後、館蔵品の紹介をする「学芸員のこだわり展示」を始めた。2回目として江戸時代のふなずしをテーマに1689(元禄2)年の「合類日用料理抄(ごうるいにちようりょうりしょう)」を展示している。ふなずしの歴史を展示するのは初めて。

 草津市の女性は「ちょうどふなずしを購入したばかりなので興味があった。ふなずしは毎年年末に購入して食べている」と資料を熱心に読んでいた。

 展示を担当した学芸員の橋本道範さんによると「江戸時代のふなずしは現在と製法が違ったことが分かる」という。1970(昭和45)年に食物史学者の篠田統さんが「滋賀県のなれずしが全てのすし類の出発点」と位置付けて以来、ふなずしがすしの原点とされていた。その根拠が古代のなれずしの作り方が現代まで伝承されていることだったが、1993(平成5)年にすしを研究する日比野光敏さんが「合類日用料理抄」に記載されている製法が現代と異なることから、ふなずしがすしの原点であることに異論を唱えた。「滋賀県の現在のふなずしは原初的とはいえず、高度に完成された調理技術である」と説いた。

 橋本さんは2019年から「合類日用料理抄」に記載されている製法で本当にふなずしを作ることができるのかの実証を始めた。現代のふなずしは春の子持ちのニゴロブナを100日程塩漬けして、夏にご飯と共に漬け込む「飯漬け(いいづけ)」をして、約100日後、冬に食べるのが一般的。「合類日用料理抄」には塩漬けの記載はなく、「冬、一番寒い時期に黒米(玄米)で漬け込む」と記載されている。橋本さんは「塩切りして雑菌の繁殖を防ぎ、夏の暑い時期に漬け込むことで乳酸菌の発酵を促す。冬に塩漬けせずに漬け、さらに玄米では発酵スピードも遅くなる。本当に発酵が進むのかを実験したが、1度目はボツリヌス菌を含む菌が検出されてしまった。今年も実験する予定だが、冬にフナが手に入るかも心配している」と話す。

 春のフナは産卵のために湖辺に近づくが、冬場は沖合に生息する。ニゴロブナは水深20~30メートルにいて捕獲することが難しくなる。「漁の時期、漬け込む時期、漬け込み期間など、現代とは違うことが多い。ふなずしが今の形になったのはいつなのか証明するには大きなプロジェクトが必要。来年には滋賀の食文化の企画展を予定しているので、今後も研究を進めたい」と話す。

 橋本さんは「ふなずしは長年、伝統食品として親しまれてきたが、生産も消費も減っている。意外と洋食にも合い、ワインとも合う。滋賀の名産品が途絶える可能性があるので、消費を継続させていくことも大切」とふなずし文化の継承にも言及する。

 B展示室館蔵品紹介コーナーで展示している。開館時間は10時~16時30分。事前予約制。入館料は大人=800円、大学生・高校生=450円、中学生以下無料。月曜休館。12月27日~1月2日休館。

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