海のプラスチックごみ問題についての出前授業が10月19日、立入が丘小学校(守山市立入町)と河西小学校(小島町)で開催された。
日本財団が推進する海洋ごみ対策事業「海と日本プロジェクトCHANGE FOR THE BLUE」の一環。立入が丘小学校の5年生101人と河西小学校の5年生204人が参加した。
立入が丘小学校では2時間目に、守山市在住のイラストレーターでプラスチックごみ削減の活動をする八尋由佳さんが登壇し、「今、世界の海で起きていること」について講演した。ごみが漂着するミッドウェー島で大量のごみに囲まれて子育てするコアホウドリやプラスチック製の網に絡まったウミガメの写真を見せた後、年間約800万トンのプラスチックがごみとして海に流れ込んでいること、800万トンはジェット機5万機分に相当することを説明すると、毎年大量のごみが捨てられていることを知った子どもたちから驚きの声が上がった。
このままプラスチックごみが海に流れ続けるとどうなるかという質問に、子どもからは「魚がすめなくなる」「地球がプラごみになる」などといった意見が出た。八尋さんは「2050年には魚よりプラスチックの方が多くなる」という予想を子どもたちに伝えた。
その後、石川県で海ごみ問題に取り組む蒲田千佳さんとオンラインでつなぎ、蒲田さんが石川県の海の現状について話をした。蒲田さんは子どもたちに「海洋プラスチックごみは誰のせいか」と問い掛け、「隣の国のせいにしているが、海洋ごみの80%は河川から流れ着いたもの。実は自分たちのせい」と話した。
八尋さんは「海のプラスチックごみを減らすためには、海の生き物や食べ物など海のことを調べて好きになってほしい。私たちが住んでいる陸から出ているプラスチックごみを陸で食い止める方法を考えてほしい。使い捨てのプラスチックを使う量を減らすことを考えてほしい」と子どもたちに訴える。アメリカで設置されている「ミスター・トラッシュホイール」(ごみを食べる水車)や、オーストラリアのサーファーが海洋浮遊ごみ回収機「シービン」、漁師が海で引き揚げたプラスチックごみから靴や洋服を作る「アップサイクル」などの世界で実施されているアイデアを紹介した。
引き続き3時間目は琵琶湖のプラスチックごみ問題についての授業をした。2019年6月に行われた琵琶湖の湖底ごみ調査では、74.5%がプラスチックごみであることが分かった。八尋さんは「農業のマルチシートや肥料の袋などがあり、35年前のお菓子の袋も出てきた。水の中に入ると光が当たらず、分解されずにそのまま残る。ビニールが湖底を覆うと、湖底の生き物が生きられなくなる」と危惧する。
八尋さんは毎月琵琶湖岸のごみ拾いをしているが、湖岸の砂に交じっている被覆肥料(コーティング肥料)についても説明した。3ミリ程度の小さな肥料で、プラスチックの殻で覆われている。「農家の人は畑で溶けていると思っているが、相当量が溶けずに川から琵琶湖に流れ着いている。海には微生物がいないので、分解されず、マイクロプラスチックごみになる。プラスチックが使われていることを知らない人も多く、説明したら驚かれる」と話した。
「プラスチックごみはどうやって琵琶湖に流れ着くのか。風に飛ばされた袋や、公園のごみ箱からあふれたごみ、ごみ回収時に破けた袋から道路に落ちたごみ、側溝に捨てられたたばこの吸い殻などが流されて川から琵琶湖にたどり着く。私たちの手から離れて回収できなかったごみがたどり着くところが琵琶湖。琵琶湖のごみは滋賀県民が出したごみ」と話した。
「私たちにできることは何か」という問い掛けに、子どもたちは「レジ袋を受け取らない」「ごみは家で捨てる」「プラスチックの物をあまり買わないようにする」「リサイクルする」などと答えた。
最後に八尋さんが販売する大麦の茎で作ったストロー「すとろーている」を児童に配布し、「滋賀の川は琵琶湖につながっている。自分ができることを実行して、おうちの人や友達に広めてほしい」と話した。