関蝉丸神社(大津市逢坂)に12月26日、池部楽器店(東京都)が平和を願うポスターを奉納し、1月1日から境内に掲示されている。
ポスターは、武器を持って戦う兵士の足元に倒れる民衆と楽器を演奏するミュージシャンの前で喜ぶ観衆を描いた環境漫画家の本田亮さんのイラストに、「楽器は強い。武器よりもずっと。」のメッセージが添えられている。12月26日に池部楽器店クリエーティブディレクターの福井崇人さんが関蝉丸神社を訪れ、ポスターを奉納した。ポスターは1月1日から下社境内の2カ所に掲示されている。
関蝉丸神社は、琵琶の名手で歌人でもある蝉丸を祭っていることから、「芸能の神」として音楽や芸能に携わる人が参拝する神社。福井さんは「古来、芸能の神としてあがめられている関蝉丸神社に奉納し、公開することでさまざまな人が平和への思いについて改めて考えるきっかけになれば」と話す。「2022年は日本国内だけでなく、世界中で悲しいニュースが続いた。暴力による恐怖ではなく、音楽による感動の輪を広げていきたい」とも。
関蝉丸神社宮司の橋本匡弘さんは「ポスターを掲示することには反対の声もあったが、神社が平和を掲げることに異論はない。音楽には平和を願う力がある。芸につながる心は同じ。ポスターを通じて平和にも神社にも関心を持ってもらえれば」と話す。
関蝉丸神社は、以前は芸能に携わる人が参拝しにぎわっていたが、現在は総代組織もなく、屋根に穴が開くなど荒廃が進んでいる。池部楽器店は芸能祭やクラウドファンディングなど、神社の復興に協力している。福井さんは「ロックが私の人生を支える柱となっている。元祖ロッカーかもしれない蝉丸を祭っている神社の復興のために微力ながら手伝いができれば」と話す。