平和堂ファーム(野洲市堤)主催の「新規就農のためのイチゴ実践講座」を修了した大久保雄介さんが守山市にイチゴ農園を開業して1カ月がたった。
大久保さんは守山市今浜町にハウスを構え、3月8日から育苗を始めた。「あきひめ」と「紅ほっぺ」、滋賀県が新たに開発した滋賀県オリジナル品種の「みおしずく」を栽培し、今年の12月に初出荷する予定。
大久保さんが受講したのは、昨年11月から今年3月までの4カ月間にわたり開講された新規就農者向けの講座で、滋賀県内で就農予定の5人が平和堂ファームで受講した。講座では、イチゴの栽培技術だけでなく、バイヤーが求める農作物、物流、商流のシステムなどについての講義も行った。
大久保さんは「専門的な知識をたくさん教えてくれた。失敗したことも含めて全部教えてもらえた」と振り返る。
平和堂ファームは2020年、滋賀県を中心にスーパーマーケットを運営する平和堂(彦根市)が開場。後継者の不足、食料自給率の低下、フードロス問題などの課題を解決に取り組んでいる。
91アールのビニールハウスでイチゴ、ミニトマト、小カブを、25アールの畑で小カブを栽培し、平和堂の店舗に出荷しているが、一番の目的は「地域農業の活性化」という。
「活性化には新規就農者を増やすことが必要」と平和堂ファーム長の延澤太さん。小売業者が農業支援を行うことについては、「ほかにも新規就農者向けの講座はあるが、小売業者の平和堂だからこそできる講座にしたかった。消費者の求めている農産物はどういうものなのかをバイヤーの立場から伝えられるのは平和堂ならでは」と胸を張る。「私も平和堂ファームの立ち上げ時に就農した。農作物を作る中で失敗もしている。就農した時に感じた不安や直面した課題をどのように解消したか、自らの経験を話すことで受講者の不安を減らすことができたと思う」とも。
同じく新規就農者講座を受講し、高島市で開業した杉島一美さんは「栽培方法からパック詰め、加工方法まで教えてもらえた。実践に近い形での講座を受けることができて、開業までの不安がなくなった」と話す。
大久保さんは「守山市がとても熱心に土地探しに協力してくれた。安定して生産できるようになったら規模を拡大して、地域の人を雇用して地域経済に貢献したい」と意気込む。