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守山で山下清展、幼少期の作品から遺作まで 「貼り絵の緻密さに驚く」

山下清の貼り絵作品「長岡の花火」©Kiyoshi Yamashita / STEPeast 2023

山下清の貼り絵作品「長岡の花火」©Kiyoshi Yamashita / STEPeast 2023

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 「生誕100年山下清展 百年目の大回想」が現在、佐川美術館(守山市水保町)で開催されている。

瀬田の唐橋など東海道五十三次の各地を描いた作品

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 山下清の生誕100年を記念した企画展で、2022年から全国を巡回している。佐川美術館では貼り絵だけでなく、水彩画やペン画、山下が絵付けした陶磁器など約190点を展示。同館学芸員の藤井康憲さんは「巡回展の中でも作品数は最大規模。ドラマで描かれている山下清でなく、画家としての魅力を味わってもらえる展示になった」と話す。

 第1章は幼少期の昆虫のペン画や貼り絵、鉛筆で描いた花火などを展示。第2章は養護施設「八幡学園」に入園して始めた「ちぎり絵」を展示。学園の教育の一環で始めた「ちぎり絵」だが、山下はすぐにその才能を開花させた。展示では、初期の作品と数年後の作品を見比べることができる。18歳で学園から抜け出し、放浪の旅を始めた山下は、長岡の花火や桜島など旅先で見た景色を脳裏に焼き付け、学園に戻ってから貼り絵作品に仕上げた。放浪の旅に出るために学園を抜け出す自分の姿を描いた鉛筆画や、放浪先から学園に宛てて書いた手紙、旅中に着用した浴衣やリュックサックなども展示する。

 第3章は放浪をやめ、画家として活動することを決意した山下が生み出した貼り絵、ペン画、油彩画などを展示。藤井さんは「東京で展覧会をして自信を付けた画家・山下清の作品を見てほしい。貼り絵の一枚一枚のチップは本当に緻密。実物を見てもらうと、その緻密さに驚くはず」と話す。

 第4章はヨーロッパ旅行で見た風景を描いた貼り絵やペン画、水彩画を展示。旅先では絵を描かなかった山下が残した数少ないスケッチも展示する。藤井さんは「スケッチブックの作品を公開するのは生誕100年の企画展が初めて。知られざる山下の一面を見てもらえれば」と話す。第5章は山下が絵付けした陶磁器作品や遺作となった東海道五十三次シリーズを展示している。

 大津市の男性は「とても細かくて素晴らしい。日本全国ののどかな風景が描かれていて懐かしさを感じた。戦争への思いや人との関わりなど、山下清自身の考え方があったのだと作品から感じられた」と話した。

 開催時間は9時30分~17時。月曜休館。入館料は、大人=1,200円、大学生・高校生=800円、中学生以下無料。事前にウェブサイトで予約が必要。6月11日まで。

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