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木の岡ビオトープ自然観察会ー幽霊ビル跡地に生物天国40年

かつて水田地帯だった木の岡で、ホテル廃虚後開発の手が入ることもなく、「生物天国」としてビオトープは形成された

かつて水田地帯だった木の岡で、ホテル廃虚後開発の手が入ることもなく、「生物天国」としてビオトープは形成された

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 倒産して廃虚となったホテル跡に40年かけて自然化した「木の岡ビオトープ」(大津市木の岡)で12月8日、水鳥などの自然観察会が開かれる。

見上げるとサギの巣も

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 主催は「おにぐるみの学校」。同グループは地元自治会・専門家・近隣企業・県が協働し、2005年10月に設立された。1973(昭和48)年に廃虚となったホテルは「幽霊ビル」と呼ばれ放置されてきたが、2000年に撤去され、「幽霊ビル跡地委員会」が発足。保全活動や自然観察会を展開してきた。

 行政と地域住民と企業2社、地元有志や専門家研究会仲間、地元の学校による運営委員会、イオン西大津店子どもの環境保全活動グループがゴミ拾いや道の整備、下阪本小学校2年生約100人がネーチャーゲームや観察会を行うなど保全活動が根付き、地元木の岡の住民も意欲的に取り組む。

 2003年の調べでは、植物約340種、付着藻類約70分類群、哺乳類6種、鳥類約60種、両生類・爬虫類11種、昆虫類約410種、魚類12種、底生動物約60種もの生物が確認されている。ホテル廃虚後、人が寄り付かなくなり自然のままになっていたことがビオトープの形成に功を奏した。湾になっている湿地帯は鳥類などの産卵場所となっており、サギが柳の木の上に巣を作っているのも認められた。めったに人前に姿を見せないモグラも目撃されている。

 同グループ代表・滋賀県立大学名誉教授の小林圭介さんによると「オニグルミがあれだけ残っている環境はない。滋賀県では長浜市の高時川の上流にのみ確認された植物だったが、湾になることでせき止め、びわ湖に流れ出ることなく打ち上げられ芽吹いた」と考えられる。「自然にできたとはいえ、ビオトープを守るという目的で協働できたこと自体も奇跡」と話す。

 開催時間は9時~12時30分。小雨決行。参加費100円。当日は豚汁も振る舞われる。定員は先着50人(小学生は保護者同伴)。申し込み締め切りは12月4日(必着)。申し込み方法は県のホームページで確認できる。

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