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滋賀県立近代美術館で「柳宗悦」展―ゆかりの大津絵など約400点、柳宗理作品も

滋賀ゆかりの大津絵を「美術というよりも、むしろ工芸」と収集した宗悦。表装は宗悦が張り替えた。「購入不可能だった高額なものもあった」(学芸員)

滋賀ゆかりの大津絵を「美術というよりも、むしろ工芸」と収集した宗悦。表装は宗悦が張り替えた。「購入不可能だった高額なものもあった」(学芸員)

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 滋賀県立近代美術館(大津市瀬田南大萱町、TEL 077-543-2111)で10月12日から、「『柳宗悦』展-暮らしの眼差し-」が開催されている。工業デザイナーだった子息・宗理の作品と合わせ約400点を展示する。

柳宗悦宅の応接室を見立てた展示も

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 柳宗悦は1889(明治22)年、東京都生まれ。1910(明治43)年文学雑誌「白樺」の創刊に参加。宗教哲学を論じたり西欧近代美術の紹介に務めたりした。3年後、東京帝国大学哲学科を卒業。朝鮮陶磁器の魅力に引きつけられたことをきっかけに民間で用いられる日常品の美しさに目覚め、日本では木彫仏、各地の手仕事などの収集を通し、新しい美の思想を確立していった。1925(大正14)年陶芸家の河井寛次郎・濱田庄司と共に「民衆的工芸」「民間の工芸」の意味から「民芸」という新語を作った。1925(昭和11)年、日本民芸館が開設されると初代館長に就任。台湾、日本のアイヌ民族や沖縄の工芸の紹介を通し抑圧される固有の文化を尊重するなど滋賀ゆかりの大津絵の収集・展覧会も開催した。大津絵については「美術というよりも、むしろ工芸」と高く評価した。

 同館学芸員の高梨純次課長は「民芸とは民衆の中にあった『用の美』を見いだしたもの。宗悦は伝統的なものを研究するだけでなく、より機能的なデザインなど現代に再構成してみせた。宗悦は日本の急激な近代化に危機感を覚えていたが哲学者・美学者としての美意識を極めていった」と解説する。「興味を持っていた柳宗悦の審美眼をあらためて知ることができてよかった」と草津市の西由花さん。

 関連イベントとして、「たいけんびじゅつかん『大津絵キャラに大変身ーかぶり物をつくって撮影会をしようー』」も開催予定。11月9日、10時~16時(講師は宇野君平さん=アーティスト・成安造形大学美術領域講師)。

 開館時間は9時30分~17時(入館は16時30分まで)。月曜休館(11月4日の祝日は開館し5日が休館)。観覧料は、一般=950円(前売り750円)、高大生=650円(同500円)、小中生=450円(同350円)。11月24日まで。

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