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大津市で「田上てぬぐい」展 布一つへの思いを感じて

20代は「麻葉に楓」、40代は「七宝に蝶」など年齢によってかぶる手拭いの図柄が決まっていた

20代は「麻葉に楓」、40代は「七宝に蝶」など年齢によってかぶる手拭いの図柄が決まっていた

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 大津市歴史博物館(大津市御陵町)で現在、企画展「田上(たなかみ)てぬぐい-暮らしと文化-」を開催している。

「田上てぬぐい」を手にする和田副館長

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 大津市の田上盆地の農村で昭和40年代まで使われていた「田上てぬぐい」や「三巾前垂れ」などの衣料を展示し、田上地域の生活文化について紹介する同展。

「田上てぬぐい」は頭にかぶった時に顔の周りに模様が来るよう、長辺の下部に模様が施された手拭い。かぶることを前提に作られたデザインの手拭いは珍しく、貴重な資料という。同館副館長の和田光生さんは「田上地域の女性は畑仕事の時だけでなく、冠婚葬祭や社寺への参詣時にも手拭いをかぶった。地元の人への聞き取りにより、年齢によって柄を使い分けていたことも分かった」と説明する。

会場では「田上郷土資料館」の収蔵資料を展示する。田上郷土資料館館長の東郷正文さんは「戦後以降、生活様式が変わり、捨てられていく日用品を資料として残したいと思い、田上地域の人たちに協力を呼び掛けた。集まった資料を整理し、その成果を大津市歴史博物館に展示することになった」と話す。

和田さんは「今は服が安く手に入り、使い捨てる時代だが、50年ほど前は、糸をつむぐところから始まり、布を織り、着物がほつれたら洗い張りをして仕立て直し、最後は端切れとして縫い合わせて使った。企画展を通じて今とは違う布一つへの思いを感じてほしい」と話す。

大阪から来館した女性は「古い布に興味があって来た。端切れを合わせた大きな布に感激した。見ているだけで和む」と話していた。

開催時間は9時~17時。月曜休館。観覧料は、一般=320円、大学生・高校生=240円、小中学生=160円。今月27日まで。

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