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滋賀大学が野菜栽培のデータ分析と栽培実証実験 プランティオと共同研究

滋賀大学とプランティオが共同研究を開始した

滋賀大学とプランティオが共同研究を開始した

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 滋賀大学とプランティオ(東京都)が8月30日、野菜栽培ナビゲーションシステムの向上に向けた共同研究を開始した。

土壌水分量、土壌温度、照度、外気温、外湿度、カメラのセンサーがついた「grow CONNECT」

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 プランティオは「誰でもどこでも野菜栽培ができる社会」の実現を目指し、従来のアナログな野菜栽培をデジタル化した一般向けの野菜栽培ナビゲーションシステム「grow OS」を提供している。IoTセンサー「grow CONNECT」をプランターに差し、土壌水分量、土壌温度、照度、外気温、外湿度、カメラのセンサーから取得したデータを「grow OS」に連携することで、スマートフォンのアプリに水やりのタイミングや収穫時期などの通知が届くシステムを開発した。

 滋賀大学データサイエンス学部(彦根市)の岩山幸治准教授と、教育学部(大津市平津)の森太郎准教授が、プランティオが保有する野菜データベースや利用者の栽培履歴と「grow CONNECT」のセンサーデータを分析し、学習予測アルゴリズムの構築、栽培実証実験を行う。これにより、各利用者が栽培する地域や季節、天候に合わせた栽培ナビゲーションの実現や予測精度の向上が期待できるという。

 森さんは「自分自身で栽培や実体験を行うことは、農や食料、それらを取り巻く環境について深く考えることにつながる。しかし、同じような気候であっても菜園ごとに、日当たりや水はけが良い・悪い、露地・プランターでの栽培など栽培環境が異なり、順調に栽培が進まないことも多くある。grow CONNECTにより、自分の菜園の環境を知り、そのデータに基づいたアドバイスを受けることで栽培が成功に導かれるシステムを構築し、多くの人が栽培や食の喜びを味わい、農・食料・環境について考えるようになってほしい」と話す。

 岩山さんは「近年、農業分野においても全国各地でデータの取得、活用が行われるようになってきたが、多くは大規模な農場での取り組みであり、それに比べて小規模な栽培においては、データの利活用はまだ進んでいないように思う。その要因の一つに、自然を相手にした農業では、大規模な施設でなければ安定にきれいなデータを取得することが難しいことがあると考える。全国のgrow CONNECTから多種多様な環境のデータを集約し、分析することで、マイクロファーミングにおける植物の生育、栽培について新たな知見が得られるのではないかと期待している。この取り組みが、個人で行う栽培のハードルを下げ、将来的に食料自給率の改善や食糧難の解決につながれば」と話す。

 プランティオ社長の芹澤孝悦さんは「滋賀大学との共同研究で、今まで専門知的アプローチでしかなかった野菜栽培という領域において、IoTによる集合知的なアプローチをし、そこに高い専門性を加えることで、予測アルゴリズムを向上させたい」と期待を寄せる。

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