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三井寺で信楽焼と琵琶湖の写真展示 「火が造形する陶芸作品」

「火が造形する」奥田さんの陶芸作品

「火が造形する」奥田さんの陶芸作品

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 信楽焼の作品と琵琶湖の写真を展示する展覧会「めぐる水 中島省三・奥田博土展」が5月1日、三井寺(大津市園城町)の観音堂書院で始まった。

陶芸家の奥田博土さんと陶芸作品

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 陶芸家の奥田博土(ひろむ)さんは「琵琶湖は伊賀から信楽を通り、現在の位置に移動したとされる。信楽焼は古代琵琶湖の土で作っている。信楽焼があるのは琵琶湖のおかげなので、琵琶湖が見渡せ、湧水が湧く三井寺で、琵琶湖の写真と一緒に展示して、水が巡っていることを表現したかった」と話す。

 書院には、奥田さんの陶芸作品約50点と、中島省三さんの琵琶湖の写真を展示。庭園には20年かけて苔むした陶芸作品「青苔(せいたい)」などを展示する。

 奥田さんの作品は、つぼを成形し、その上に鉢や帯状の粘土を載せ、従来の信楽焼より高温で焼成する。奥田さんは「1300度を超えると上に載せたものの重みでつぶれていく。これだ、という形になったところで焼くのをやめる。昔は手で技巧していたが、人間の造形はどこかで見た形にしかならない。火を入れ、ぎりぎりのところで火とせめぎ合っている。火に造形してもらうと、人間の手の届かないところにたどり着く」と話す。

 貝殻の上に横向けや斜めに置き、焼成することで、貝の模様が付き、貝に触れていた部分だけ塩分でピンク色になる。横向けに置くことで形がゆがみ、釉(ゆう)薬も流れ、模様となる。焼成には赤松のみを使う。赤松が高温で灰になり、ビードロ(=釉薬)になる。ビードロが滴となり、落ちる途中で固まった作品も展示している。奥田さんは「作品がどうつぶれていくか、ビードロがどう落ちるか、窯を見て、どこで取り出すかを判断する。高温で焼くために窯も手作りした」と話す。

 岡本太郎さんと共に1968(昭和43)から太陽の塔の「黒い太陽」を制作した奥田さんは「岡本さんから、水一滴落ちてくるのを感じられるのが作家だと教えてもらった。歴史は大事だが、伝統は今からつくるもの。これからの伝統として残る物を作りたい。今の琵琶湖を切り取った写真、今の水が湧く三井寺、今の人に合う陶芸作品。今の人が今の家に飾ってどう感じるかが大事。時代へのチャレンジ、自分へのチャレンジを続けたい」と話す。

 28日には、奥田さんの妻・美恵子さんがワークショップ「土と遊ぼう」を開く。参加者には、土の塊にワイヤーで模様を付けてもらう。美恵子さんは「頭で考えずに、土の中から形が生まれてくるのを感じてほしい。作品は焼成して7月の作品展で展示。展示中に持ち帰ってもらう。形が生まれる体験をしてもらえれば」と呼びかける。ワークショップは三井寺事務所2階で行う。参加費は1,000円。事前申し込みが必要。

 開催時間は8時30分~16時30分。観覧無料。三井寺への入山料が別途必要。5月31日まで。

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