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滋賀県立美術館で丸木スマ展 73歳から描き始めた画家の軌跡

丸木スマの絵を紹介する学芸員の山田さん

丸木スマの絵を紹介する学芸員の山田さん

 滋賀県立美術館(大津市瀬田南大萱町)で9月11日、「丸木スマ展73歳からのアーティスト」が始まった。

花、野菜、イヌなどを描いた「簪(かんざし)」

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 画家・丸木スマの初期から晩年までの作品105点と関連作品8点を展示。スマは1875(明治8)年、広島県生まれ。70歳の時に広島で被爆し、翌年には夫を亡くしている。家族の勧めで1948(昭和23)年、73歳から絵を描き始めた。専門的な美術教育を受けていなかったが、1950(昭和25)年以降、女流画家協会展や再興日本美術院展などに入選し、70代で画壇デビューを果たした。1956(昭和31)年に81歳で亡くなるまでの約9年間、700点以上の作品を残した。

 企画を担当する滋賀県立美術館学芸員の山田創さんは「73歳から絵を描き始めて、数年後には女流画家協会展や院展で入選するという、非常に珍しい経歴を持つ。『おばあちゃん画家』というイメージだけではなく、一人のアーティストとして見てもらいたい」と話す。

 展示は、スマが絵を描き始めた時期から、自然や暮らしを題材にした作品、画壇での評価、丸木家の画家たち、文化人や民藝(みんげい)運動との関わり、被爆体験などを取り上げる章立てで構成する。

 初期作品からは、花や野菜、イヌ、カニなど、身近な自然や生き物を描いた作品を紹介する。写実的な大きさや配置にとらわれず、鮮やかな色彩と自由な構図で描いた作品が並ぶ。山田さんは「人物と果実の大きさを自由に変えるなど、見たものをそのまま再現するのではなく、自分の中にあるイメージを描いている。見ていると『こう描いていいんだ』と思わせてくれるところが魅力」と話す。

 第3章では、女流画家協会展と院展への入選作を中心に、評価が形成されていった過程を紹介する。長男の丸木位里、その妻の俊ら家族の関わりに加え、同時代の文化人や美術関係者による評価にも焦点を当てる。

 第4章では、位里、俊、長女の大道あやら、丸木家の画家たちを紹介。俊と位里が制作した「原爆の図」なども展示し、スマを取り巻いていた創作環境を伝える。

 第5章では、スマが「おばあちゃん画家」として知られるようになった背景を、新聞や雑誌の記事、展覧会記録、俊による文章、民藝運動関係者らとの関係などからたどる。柳宗悦らが作品に関心を寄せたことや、文化人との交流を通じて作品が広がっていった事例も紹介する。

 展覧会後半では、広島での被爆と夫の死など、スマの作品の背景にある体験にも焦点を当てる。原爆を直接描いた数少ない作品のほか、2017(平成29)年に確認された作品、原爆後に咲いたと伝わるカンナを描いた作品などを展示する。山田さんは「明るく華やかな作品だけを見るのではなく、原爆や平和に関わる側面も含めて見てもらうことで、丸木スマという人を多面的に知ってもらいたい」と話す。

 最終展示では「丸木スマ的マンダラ」と題し、身近なものを繰り返し描きながら、現実を超えたような画面を生み出した作品を紹介する。代表作の「簪(かんざし)」など、草花や動物を画面いっぱいに描いた作品も並ぶ。

 展示の最後には創作コーナー「絵ハ誰デモ描ケル」を設けた。画板を使って自由に描いたり、スマが飼っていた犬「くまちゃん」のレリーフに色鉛筆で色を付けたりできる。山田さんは「73歳から絵を始めた丸木スマの生涯と重なるように、年齢や経験に関係なく、誰でもいつでも描き始められる場にした。大人にも子どもにも、描くことの楽しさを感じてもらいたい」と話す。「作品を見て元気になってもらい、絵を描く人かどうか、何歳かに関係なく、始めるのに遅すぎることはないと感じてもらえれば」と呼びかける。

 開場時間は9時30分~17時(入場は16時30分まで)。観覧料は大人=1,200円、高校・大学生=800円、小・中学生=600円、未就学児無料。月曜休館(祝日の場合は翌日)。11月23日まで。

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